あせらず、さわがず

アラフィフおばさんが脈絡なく書いてるブログ~あとは野となれ山となれ

子ども科学電話相談 春スペシャル3/22(昆虫、動物、心と体・哲学、ロボット・AI)10時台~11時台

3/22のジャンルは

 昆虫 久留飛克明先生

 動物 成島悦雄先生

 心と体・哲学 野矢茂樹先生

 ロボット・AI 坂本真樹先生

 

アナウンサー「この「子ども科学電話相談」、4月3日までは春スペシャルと題しまして、“ほぼ”、ほぼ毎日、生放送でお送りしています。」

「毎日」放送と言っていたのが、3/23は国会中継で中止決定。春スペシャル4日目にしてちょっと勢いのない「ほぼ毎日」に。

 

アナウンサー「久留飛先生は昨日もお越し頂きましたが、昨日と今日、東京を歩いてみて、何か春らしいものは見つけましたか?」

久留飛先生「もう風が違いますね。」

アナウンサー「風!」

久留飛先生「吹いてくる風が、やっぱり春のにおいがしてますから、上着ももう要らないなあっていう…そのぐらい春になったのを体で感じますね。」

アナウンサー「今日の東京は気温が上がると気象情報では言っておりますので、より春を感じるかもしれませんね。」

久留飛先生「ますます暑くなると思います。」

アナウンサー「昆虫も活発になるかな?」

久留飛先生「そうですそうです。」

 

アナウンサー「成島先生はいかがでしょう、何か春らしいものは見つけましたか?」

成島先生「近くに神田川が流れてるんですけれども、そこに桜の木が植わっているんですね。けっこう桜が咲いていて、この時期ですけど人出もそれなりにありましたね。みんな一生懸命スマホで写真を撮ってましたけど、きれいでしたよ。」

 

アナウンサー「野矢先生はこの「子ども科学電話相談」は2回目の登場ですね。よろしくお願いします。」

野矢先生「よろしくお願いします。」

アナウンサー「野矢先生、今日は心と体・哲学についての質問に答えて頂きますが、野矢先生のふだん教えていらっしゃる哲学はどんなことでしょう?」 

野矢先生「…(笑)えーっと…うーん…今日は子どもの質問に答える時間で、山本アナウンサーの質問に答える心の準備がないのですけど…。」

先生方「(笑)」

アナウンサー「あっそんな…そんなこと言わないでえぇぇ…(笑)。」

野矢先生「いろんなこと教えてますね。言語哲学というものもありますし、哲学って自分がやってることに対して、“これは何をやってるんだろう、何なんだろう”と…社会のこともそうだし自分のこともそうだし、それから人間のこと、いろんなことを“これは何なんだろう”と立ち止まって考えることなんですよね。

だから、何でも哲学の話題になってゆくんです。自分が生活していて、ふだん何気なくしているけれども、“あ、これ何なんだろう”、“何で人はこうやって言葉でやりとりできるんだろう”、“何でこんな気持ちになるんだろう”とか、そういうのは全部哲学になります。

だから…何て言ったらいいんでしょうね、授業をするのも難しいですよ。特に“これ”を教えるとか、そういう知識があるわけじゃないですからね。ふつうには過去の哲学者たちが何を考えていたのかを教えるんだけれども、過去の哲学者たちだって今と同じで、“自分たちは何をしているんだろう”ということと格闘したというか、考えてるわけですから。」

アナウンサー「悩みながら。」

野矢先生「悩みながらね。その悩みを今また一緒に考えていこう、そういうのが哲学ですね。」

アナウンサー「子どもと哲学となりますと、子どもさんからどんな質問が来るか楽しみなんですが…」

野矢先生「あまり楽しみじゃないです。怖いです(笑)。」

アナウンサー「そぉんなこと言わないでください(笑)。例えばふだんのモヤモヤとか、“あれ、何だろう”という素朴な疑問を送ってもらってもいいですか?」

野矢先生「もちろんそういうのが来るんだろうなと思って覚悟しています(笑)。」

アナウンサー「広くとらえると人生相談というか。」

野矢先生「私がお答えできて何かの力になれれ

ば、それに越したことはありません。」

心の準備がないと言いながらめいっぱい説明してくださる野矢先生だった。「いく」じゃなくて「ゆく」と発語されるのも個人的にツボである。

 

アナウンサー「坂本先生、子どもたちは全国的に休校などで家にいまして、なかなか外に出る機会もないお子さんもいるかもしれません。何かアドバイスありますか?」

坂本先生「AI・ロボット担当としては、お家でロボットを作ってみるとか…(笑)」

先生方「(笑)」「ロボット作れるんですか(笑)。」

坂本先生「ネットでもAIのプログラミングを勉強できるようになってるので、やってみるのをお勧めするんですけど、やっぱり桜の季節で、私も今日、来る時にきれいだなと思って…ずっと座ってると体が固まって良くないので、春休みは体を動かして…外だったらいろんな病気とか心配ないので、ぜひお外に出て遊んでもらえればと思います。」

アナウンサー「そしてラジオも聴いてほしいですね。」

坂本先生「もちろん、この時間はぜひ知的好奇心をたくさん持って過ごして頂ければと思います。」

 

Q1 蚕は宇宙食になる?(6才男子)

 

アナウンサー「“カイコ”って…虫の蚕ですね?」

質問者「うん。蚕は宇宙食になるぅ?」

アナウンサー「○○君は蚕を見たことある?」

質問者「ううん。」

久留飛先生「蚕を見たことないって今言ったやろう? 白いプニュプニュした幼虫のことやけど、アゲハチョウの幼虫って知ってるか?」

質問者「ガじゃないん?」

久留飛先生「ん? カブトムシの幼虫は知ってるか?」

質問者「知ってるぅ。」

久留飛先生「カブトムシとは違うけれども、同じような芋虫の形をしてるわけや。蚕というのはカイコというガの仲間なんやけど、昔の人が飼い馴らしてしまったから、もう外にはおれへんねや。ペットのように人間が飼ってしまってて。」

質問者「うん。」

久留飛先生「蚕はクワの葉っぱを食べるというのは知ってるか?」

質問者「………」

久留飛先生「知らんか。…難しいか。」

アナウンサー「6才ですから。」

久留飛先生「6才か…。(笑)蚕って、今言うたチョウとガと同じような仲間の幼虫やねんけども、今までも蚕が幼虫から蛹になって、成虫になっていく、その蛹の時に繭を作って、絹糸を取り出すんやけど、その絹糸が繭になる、その中に蛹が詰まってんねんな。その蛹を食べるという習慣はあるんよ。…難しい? …聞いてる(笑)?」

質問者「うん。」

食べるのは絹糸を出した後の蛹であって幼虫の蚕ではない。生糸の産地ならそうだよな。

 

久留飛先生「でな、宇宙食になるかという話やろう? 宇宙食ってどんなもんやと思ってる?」

質問者「………」

久留飛先生「これも難しいか?」

質問者「わかんない。」

久留飛先生「分かんないやなあ…。宇宙に飛び出した時に食べる食糧が宇宙食や。」

質問者「ふううん…。」

久留飛先生「まだ宇宙に行ったことないやろ? 私もないけどな。そのうち行けるようになったら何を食べんねやろうという時に、今まではインスタントでお湯を注ぐものが多かってんけど、今、おいしい宇宙食を作ろうという計画があるらしいわ。おいしいというのは…○○君は何が食べたい?」

質問者「アイス。」

久留飛先生「アイスか(笑)。アイスばっかしは困るけどな(笑)、ハンバーグとかカレーとかは好き?」

質問者「うん。」

久留飛先生「蚕も同じように、宇宙に出ていった時に食糧として食べることができるか、という質問やろ?」

質問者「うん。」

久留飛先生「好き嫌いってあるやん? 蚕の蛹を食べたことがないから…ないよな?」

質問者「うん。」

久留飛先生「食べてみたら、あんまりおいしくないねん。」

質問者「ふううん、何でぇ?」

久留飛先生「何でやろうな、好き嫌いかな?」

質問者「あのさあ、宇宙にも味の感覚って分からへんのじゃないのん?」

久留飛先生「そうか、宇宙に行ったら地上におる時と違って、味が分からんようになるかもしれんわけやな?」

質問者「うん。」

久留飛先生「確かにそう言われているわ。宇宙に行くと重力がなくてフワフワしてるから、めまいがしたり、船酔いみたいなもんやろうな。おいしいものがおいしくなくなったりすんねんて。

でもな、“おいしい”のいちばんのポイントは、においやねんて。例えばな、カレーライスを作ってたらにおいがするやろう?」

質問者「うん。」

久留飛先生「“あ、お腹すいてきた、食べたいな”って思うやん。」

質問者「うん。」

久留飛先生「同じように蚕を食べようとした時に、蚕のにおいを嗅いで“おいしそうだな”って思ったら、ムシャムシャ食べれるかもしれんやん?」

質問者「うん。」

久留飛先生「な、そういう具合にただ単に…こう言われてんねんけど、鼻をつまんでカレーライスを食べたらおいしくないねんて。」

質問者「ふううん。」

久留飛先生「においと共に食べるからおいしいんやねん。…何か昆虫の質問と違うねんけどな…。」

においや見た目も美味しさに影響する実験で、成島先生が幼虫型の何かを食させられるという受難もつい最近ありましたな。実際はチョコレートだったけど。

 

久留飛先生「(笑)違うねんけども、どうやったらおいしく感じるかというのは…結果としては蚕もおいしく食べれるのは食べれるよ。栄養もあるよ。ただ、おいしいかどうかは個人の判断もあるし難しいやん?」

アナウンサー「宇宙に持ってくことはできそうですか?」

久留飛先生「そらぁ何でも持ってって良いと思うんやけど(笑)。」

アナウンサー「(笑)食べようと思ったら、できなくはない…」

久留飛先生「“私はこれを食べたい”と言って持って行けばいいと思いますけど、栄養のバランスを考えて持って行けへんと…いくら何でも好きなもの食べていいというんやったら無駄があるけど、あなたかてお母さんに“何でも食べなさい”って言われてるやろう?」

質問者「うん、あんまり言われない。」

スタジオ内「(笑)」

久留飛先生「………(笑)きっとあなたはふだんから何でもよう食べてんのや。」

質問者「うん。」

久留飛先生「すごい良い子や。ということで、蚕というものをまず知らなあかんと思うねん、どんなもんかを。たぶん先生に聞いたら分かると思うけど、その蚕というのをまず調べてみて。」

質問者「うん。」

久留飛先生「蛹で食べる場合が多いねん。実際に食べれるから食べてみてもいいと思うわ。ここで食べてたら、宇宙に行ってもおいしいかもしれんやん?」

アナウンサー「久留飛先生、私、NHKの長野局にいたことがあるんですけど、長野だと…」

久留飛先生「食べてましたよね?」

アナウンサー「ええ、蚕じゃないですよ、蛹の時点で煮付けたり、蜂の子の佃煮とか頂いたことがあるんですけど、将来的には昆虫食が宇宙に飛び出すかも…」

久留飛先生「既に食糧として供給されてる昆虫っているんよ。長野県の地方の問題ではなくて、コオロギの仲間を養殖して食べようということは、既に商品化されてるから、蚕もすごく飼いやすい昆虫だから、それを飼い続けて食べることは、宇宙食だけじゃなくて地上でも食糧として十分役立つと思うで。」

アナウンサー「○○君、昆虫とか宇宙のことをいろいろ調べてみてください。」

質問者「うん。宇宙のことはもう調べてるぅ。」

アナウンサー「いろんなことを調べていったら分かると思うよ。好奇心いっぱいのようだから、いろいろ調べてみてくださいね。」

質問者「はい。」

アナウンサー「○○君は食べるのも大好きそうなので、モリモリ食べて大きくなってください。」

久留飛先生「(笑)そやな。実際に蚕を飼ってみたら良いわ。」

アナウンサー「そうするといろんな発見があるかもしれません。」

質問者「蚕飼ってって言われた。」⇦近くの大人に言ってるもよう。

アナウンサー「蚕は飼ってみることもできるらしいので良いかもしれませんね。○○君、電話ありがとう。」

質問者「うん。」

 

次のお友だち

質問者「○○です。1年生です。」

アナウンサー「1年生の○○さんは何県に住んでいますか?」

質問者「ほっかい…どう!…です。」

「県」と言われて混乱しながらも正しく応えて「です」で着地。素晴らしい対応力。

 

Q2 昆虫から動物まで、生き物はどうして寿

  命が違うのですか?(小1女子)

 

アナウンサー「確かに。○○さんは何か虫や動物を飼っていますか?」

質問者「飼っています。」

アナウンサー「何を飼っているんでしょう?」

質問者「…カブトムシとヤドカリです。」

成島先生「カブトムシとヤドカリ飼ってるんだ、お世話は大変ですか?」

質問者「もうカブトムシは死んじゃいました。」

成島先生「ああ……。いつ飼い始めたの?」

質問者「オカヤドカリは今、脱皮中です(笑)。」

成島先生「脱皮中、すごいねえ。ちゃんと世話してるんだ? 脱皮ができるようにヤドカリの状態も良いようだね。」

質問者「はい。」

成島先生「カブトムシはいつ飼い始めたんですか?」

質問者「2年前です。」

成島先生「2年前に飼って、どのぐらいで死んじゃった?」

質問者「1年で死んじゃいました。」

成島先生「1年で死んじゃった、ああ…」

質問者「最初、買って、それで、卵生んで、それから育てました。」

成島先生「すごいな、じゃあ腐葉土みたいなの用意したの?」

質問者「はい。」

成島先生「すごいねえ! じゃあ幼虫から蛹になってくるところは全部見てたの?」

質問者「はい、見てました。」

成島先生「ああ~すごいですね、久留飛先生。」

久留飛先生「すごいねえ。」

成島先生「小学校1年生ですよ。」

久留飛先生「そう、君はすごい。○○さんすごいよ。」

生き物のお世話が上手で、受け答えもしっかりか~素晴らしい。

 

成島先生「それで、どうして生き物によって寿命が違うのかっていうことですよね?」

質問者「はい。」

成島先生「不思議だよね、僕たちは80才とか90才、場合によっては100才を越えてる人もいますよね? でもカブトムシは1年で死んじゃったよね?」

質問者「はい。」

成島先生「たぶん理由はここにあると思うんだ。生き物というのは自分の命を繋いでいくという大切なお仕事があるんですよね。カブトムシが卵を生んだということは、自分の命をちゃんと次の子どもたちに繋げた、と言えるでしょう?」

質問者「はい。」

成島先生「人間の場合は大人になって結婚しないと子どもができないじゃない? そうすると20才とか30才、場合によっては40才になってから初めて子どもができるんだよね。子どもができるまでに時間がかかるわけ。これは動物の種類によって、短い時間で大人になって子どもができる動物がいる一方、長い時間かからないと子どもが生まれないような体のつくりの動物がいるんですよ。」

質問者「…はい。」

成島先生「何か心細い“はい”だけど、大丈夫かな?」

質問者「大丈夫です。」

成島先生「ああよかった。だから、命を繋いでいくために早く大人になっちゃう動物は、自分の子どもを作ったら、もうそこで寿命が尽きていいわけ。例えば1年間で子どもを生むことができれば、その動物は1年でいなくなっても動物の種類自体…カブトムシならカブトムシという種類自体は命がずーっと繋がっていくわけじゃない?」

質問者「はい。」

成島先生「ところがさ、人間が15才で死んじゃったとするでしょう? 人間がみんな15才で死んじゃったら子どもができないから、その時点で人間という種類は絶滅しちゃうわけだよ。」

質問者「はい。」

成島先生「そういうことで、命を繋ぐためにどのぐらいの時間がかかるかが、動物の種類によって違うわけ。それが寿命の違いに繋がってると思うんだ。久留飛先生、例えば、カゲロウという動物は1日ぐらいで死んじゃうんですよね?」

久留飛先生「成虫になってからは短いですよね。」

成島先生「という動物がいる一方、ガラパゴスゾウガメという大きなカメがいますけれども、これは簡単に100才以上生きるんだって。」

質問者「…はああ!」

成島先生「人間並みだね。一般には体が大きな道路ほど長生きするんだ。イヌだと10才から20才。ネコもそうだね。ゾウぐらいの大きさになると60才とか70才まで生きるんだ。哺乳類だとね。」

質問者「…すごい!」

成島先生「すごいよね、人間並みだね。クジラもいるでしょう?」

質問者「クジラいます。」

成島先生「大きいよね?」

質問者「大きい。」

成島先生「シロナガスクジラっていう、ものすごく大きなクジラがいるんだけれども…」

質問者「ハッ!」

成島先生「おじさんも図鑑でしか見たことないんだけど、これだと100才を優に超えちゃうんだって。規則としては体が大きくなればなるほど長生きするようなんだ。それは子どもを作るまでの時間がかかることが決め手になっているらしいんだよ。大きな動物は長生きで、小さな動物は一般的には寿命が短いということね。」

質問者「はい。」

成島先生「ただ、野生の動物がどのぐらい生きるかというのは本当のところはよく分からないんだよね。人間は戸籍みたいなものがあって、生まれてから死ぬまで記録がちゃんととられているじゃない? 戸籍って分かるかな?」

質問者「はい。」

成島先生「とってもきちんとしたデータが揃っているわけね。でもアフリカに住んでるライオンの戸籍は残念ながらないんだよね。一応、ライオンはオスだとだいたい10才から12才で死んじゃうんだよね。メスだともっと長生きするんだけど、同じ種類でも性別によって寿命が違ったりするわけ。」

質問者「はい。」

アナウンサー「○○さん、どうですか? 大人になるまでの時間であったり、体の大きさによって、それぞれ生きる時間の長さが違うということでしたけど、大丈夫かな?」

質問者「はい。」

アナウンサー「ヤドカリ君、元気かな? 大事に飼ってあげてくださいね。」

質問者「はい。」

野生の動物の寿命は本当はよく分からないのは確かにそうだった。寿命を気にして生きているのかどうかも分からないよね。

 

Q3 何で人間は痛さが分かったり、泣いた

  り、心がドキドキしたりするんですか?

  (5才男子)

 

アナウンサー「○○君はドキドキしたり痛かったりしたことがあったのかな?」

質問者「うん、あった。」

野矢先生「んー、すごく難しい質問でね、どうしてと言われてもなかなか答えにくい。痛さが分かるのは人間だけじゃないだろうけれども、成島先生、泣く動物…涙を流す動物って人間以外に…」

成島先生「ないですね基本的には。」

野矢先生「そうですよね、涙腺があって潤すぐらいのことはするんだろうけれども、ポロポロ泣いたりワアワア泣いたりするのは人間だけ…」

成島先生「ええ、悔しくてとか、嬉しくて泣くことはないですね。」

野矢先生「だから何で人間だけがこんなふうに泣くんだろう、というのはとても難しい質問なんだけれども、まず、自然の中で生きていく上で、あるいは人間どうし…つまり私たちが生きていく上で、こういうことをするようになったのは、それが生きていく上で何か役に立ってるからだ、というのが基本的な考え方だと思うんですよね。」

質問者「なるほどねえ。」

野矢先生「だから、涙を流す、泣いたり痛さが分かると、それがどういうふうに役に立つんだろうって考えるんですね。

今度はね、それがなかったらどうなんだろうって考えてみる。その時に、自分が泣くのはなぜだろうとか、自分が痛さを感じるのはなぜだろうじゃなくて、人間が泣くのはなぜだろう、人間が痛みを感じるのはなぜだろうって考えた方が良いと思うね。

というのはね、一人一人のことを考えたら泣かない人もいるし、それから痛みを感じない…病気なのか何て言えばいいのかよく分からないけれども、そういう人もいるんだよね。

だから“○○君が”じゃなくて、“人間が”どうして泣いたり痛みを感じたりするんだろう。もし、人間が痛みを感じなかったらどうなると思う?」

質問者「うーん……」

野矢先生「痛くないんだから良いことだと思う?」

質問者「……ちょっとだけ変ていう感じかなあ…。」

野矢先生「(笑)ちょっとだけ変ね。痛いって嫌だから、痛くない方が良いような気がするかもしれないけれども、痛みを感じないと大変なことになるよ。想像つくかな?」

質問者「……」

野矢先生「ケガしても痛くない。尖ったものを踏んづけても痛くない。気にしないでどんどん踏んづけたりケガしたりして、それからヤケドしても痛くない、そしたら熱いものにどんどん触って、体がどんどん傷ついちゃう。そう思わない?」

質問者「……」

野矢先生「あれ?」

質問者「うーん……」

坂本先生「ごめんなさい、ロボットの坂本ですが、今、野矢先生が仰ってることはとっても大事だなと思ってて、実はロボットも痛みを感じたり泣いたりできるようになってるんですね。」

野矢先生「ほおおお~。」

質問者「ぇええええ!?」

野矢先生「(笑)」

坂本先生「(笑)例えば押した時に、それが柔らかい優しい押し方なのか、それともロボットが壊れちゃうぐらい強い押し方なのかをセンサーで感知できるようになって、場合によってはそれを避けたり、泣いたりすることもできるようになっているんです。

メリットとしては野矢先生が仰ったように、…ロボットが壊れないようにする、危険を回避するために、あまりに強い痛み、強いものに対しては逃げられるように、そういうことで痛みをロボットも感じるようにすることもあるんですよ。」

質問者「なるほどぉ。」

アナウンサー「○○君、人間だけじゃなくてロボットも“つらいな”とか、自分にとって危険だというサインを感じたり出すことができるみたいです。」

野矢先生「もう一言いいですか? 痛みの方は割と分かりやすいんですよ。泣く方は難しい。何で人間だけ泣くんだろう? 人間と他の動物とのいちばんの違いって、やっぱり社会的な生活をしてるかどうかなんですよね。だから泣くことも人間が社会を営んでいることと、たぶん関係があると思う。」

アナウンサー「だそうです。○○君、いろいろお話がありました。参考にしてくださいね。」

野矢先生「まだ言いたいことがある。」

先生方「(笑)」

アナウンサー「(笑)まだ言いたいことがある! どうしましょう、ニュースまたいじゃおうかな? ○○君、11時5分からおじさん、お姉さんたちと話をしましょう! 待っててね!」

質問者「はぁい」

子どもたちの質問が怖いと言いながら、いざ回答となるとやっぱりめいっぱい話してくれるのね。ありがたい。

 

というわけで11時台

アナウンサー「10時台の最後で○○君からの質問、“何で人間は泣いたり痛さが分かったりするのですか”というお話の続きでした。大変ヒートアップしておりまして、野矢先生がまだまだ伝えたいことがあると意気込んでいるので(笑)…○○君、待っててくれたかな?」

質問者「はあーい。」

アナウンサー「お待たせしました。野矢先生が今から思いの丈を語ります!」 

野矢先生「(笑)思いの丈って…そんなことはないですけれども、じゃあ○○君、もう少し続きを考えましょう。

さっき言ったのは、泣くのは人間だけみたいだと。じゃあ何で人間だけが泣くんだろう? 別に私も正解を知ってるとか答えを持ってるわけじゃないけれども、一緒に考えてみましょう。」

質問者「はい。」

野矢先生「人間と動物のいちばん大きな違いは、人間が人間どうし集まって、社会を作って生きているということですよね。もちろん動物の中でも社会を作ってるものはあるけれども、人間は本当に複雑な社会を作って、人と人とが関わり合いながら生きてますよね?」

質問者「そうですね。」

野矢先生「その人間の特徴と泣くことは関係があるんじゃないかな、というのが先生が今考えていることなの。どういうふうに関係があるだろうかというと、泣くと…泣いたからって、そんなに大きく悲しみが減ったりつらさが減ったりしないかもしれない。でも泣くことによって、“あ、この人は悲しいんだな”とか“あの人はつらいんだな”というのが伝わってくるじゃない?」

質問者「うん、そうだね。」

野矢先生「ね? たぶんこれが社会の中で、人と人とが関わり合いながら生きていく中で、ものすごく大事なことなんじゃないかと思うんだよね。」

質問者「そういうことだと思う。」

野矢先生「うん、そうだよね? “泣いている、つらいんだな、悲しいんだな”って思うと、こちらもその人に共感をしたり慰めたりするよね?」

質問者「うん、する。」

野矢先生「それは人間が集まって、みんなで協力して生きていく上でとても大事なことで、人間ってやっぱりそうやって生き延びてきた、それが人間を他の動物よりも生き延びやすくさせてきた。社会を作って生きていく、その中で泣くというのがひとつの…そうだなあ、コミュニケーションの道具と言っていいのかもしれないね。」

質問者「そうですね。」

野矢先生「自分のつらさや悲しみを人に伝えるということだね。」

質問者「うん。」

アナウンサー「今、野矢先生が仰ったようにコミュニケーションの能力であると。坂本先生、先ほどロボット・AIの分野でもそうした痛さ、つらさを伝える研究が進んでいるとお話がありましたけど、やはり共感力とか伝える力を研究するためのものなんでしょうか?」

坂本先生「そうですね。感情を理解しながら、というのが共感してのコミュニケーションということになるので、そこはとても大事というか、積極的にロボットとかAIも獲得していく必要のある能力だと思うんですよね。ただ痛みとかを感じさせる必要がどこまであるかというのは、いろいろ議論があって、倫理的、道徳的にわざわざそういうものを感じさせることが良いのかどうかもあります。」

アナウンサー「久留飛先生、成島先生、昆虫や動物もやはり…泣くことはないかもしれないですけど、痛みを感じることはある…?」

成島先生「痛みは感じますよね。ただ我々人間と動物の痛みの感じ方は違うみたいで、けっこう鈍感というか…例えば脚を折ったら人間だと痛くて歩けなくなってしまいますけれども、動物園での経験で言いますと、痛くても人間に捕まるよりは逃げた方が勝ちだって逃げちゃいますよね。痛みの感じ方は違うみたいです。」

質問者「うん。」

久留飛先生「確かにそうですね。バッタを捕まえて後ろ脚だけポロッと取れてしまうこと、けっこうありますよね? “こいつ片脚だけで大丈夫かな、痛くないのかな?”と思っても、たぶん痛いことは感じてるかもしれないですけど、それ以上に歩いていくとか飛んでいく方を優先しているという…私たちは痛かったらそこでうずくまって、治す方に力を入れる。ところが治す方じゃなくて動く方に力を入れてるんかな、という感じがしますね。」

先生方もアナウンサーも「うん…」「うーん…」と聞き入っている。生き物だけでなくロボットやAIにも関わる問題になってるとは…5才の質問侮れぬ!

 

野矢先生「今のを受けてもう一言いいですか? とても面白い質問だったんで、何かいろいろ話したくなってしまって…○○君、これは他の人が言っていない、先生の考え方なんだけれども、動物でも痛みを感じるというのはとても微妙なことで、何で痛みを感じるんだろうといったら、本当は痛みなんか感じなくて、危ないものがあったらすぐ体を引っ込めたり逃げたりしちゃった方が良いんですよね? 痛みを感じてる必要なんかなくて、とにかく体が反応しちゃえばいいわけで、それを何で痛みという感覚が生じるんだろうと考えた時に、…これは先生の考えですから、そういう考え方もあるのかなと思って聞いてくれればいいんだけれども、何で痛みを感じるかといったら、先生は我慢するためだと思う。すぐに反応をしない。危ないものに対してすぐ反応しないで我慢をする。今、久留飛先生が仰ったように、治療をしたり…治療するってことはある程度我慢をしなくちゃだめですよね?」

質問者「うん。」

野矢先生「すぐに体が反応しないで、痛いことを我慢して、そして治療をしたり耐えていく…そういう行動のパターンをする動物だけが痛みを感じるんだと思う。そうじゃなければ、何か危ないものがあったらすぐ体を引っ込めたり逃げたりすればいいわけで、痛みを感じるなんて余計なことなんですね。

だからこれはすごく難しくて面白い問題。今のは思いつきをしゃべっただけなんだけれどもね、ま、そんなことです。」

アナウンサー「○○君、いかがでしたでしょうか? 先生方のいろいろなお話がありました。またいろいろ考えてみてくださいね。」

質問者「はあい。」

自然界で痛みで動きを止めたら食われてしまうから、ちょっとでも動こうとする。社会を作った人間は痛みそのものに向き合える余裕があるっていうことだろうか。深く考えさせられる質問だった。時間も言葉もめいっぱいの回答を飽きずに聞いていたお子さんもすごい。

 

Q4 ドラえもんっていつできるんですか?

  (小5女子)

 

アナウンサー「ほお、いつできるか。きっとドラえもんが好きなんですね?」

質問者「はい。」

アナウンサー「ちなみにいつ頃できると思います?」

質問者「自分では…23世紀くらいに(笑)なったらできるんじゃないかなとは思っています。」

坂本先生「ドラえもんに絶対必要なものが何かによって変わってくるんですけど、例えば外側だけなら簡単にできますよね(笑)?」

質問者「(笑)はい。」

坂本先生「(笑)見た目だけなら。でも、それだけだとAIで可能になるドラえもんではない。あとはドラえもんだと、のび太君がいたりして、のび太君のつらい気持ちとかを理解してあげて、感情に寄り添って、共感して、何とかしてあげようと思って、本当に人間のようにコミュニケーションしてくれるロボット、ということになると思いますけど、それで良ければそれも23世紀と言わず、たぶん2030年ぐらいにはできてると思います。」

質問者「ほおお。」

坂本先生「ただ、そこでも重要なのは、本当に自然に会話やコミュニケーションができるかということで、今のロボットだとなかなか自然な会話は難しくて、よく難しいと言われる例として、“のび太君がまた宿題を出し忘れちゃったんだよ、おまけに学校に遅刻したんだって”と言われたら、人間だったら何て応えるか。“困ったことだね”というようなことだと思うんですけど、AIはまだそれが難しくて、“のび太君は寝坊しましたね”とか“のび太君は学校で宿題を出さなければいけません”って答えちゃう。」

質問者「ああ…。」

坂本先生「それだとちょっとだめで、十分じゃなくて、やっぱり“困ったね”ってなるから、そこで“何とかしてあげなくちゃ”ってドラえもんが道具をいろいろ出す。という流れだと思いますけど…」

質問者「うんうん。」

坂本先生「ここで○○さんが“ドラえもんと言えばやっぱり4次元ポケットだ、そこからお悩みを解決してくれる道具を出してくれないとドラえもんではない”って思うかどうかが重要なんですけど、ここはどうですか?」

質問者「ここは…うーん…どこでもドアとかは物理的に可能ではないかなとは思うんですけど。」

坂本先生「すごいね。そうなんです、今度は物理の世界の問題になってきてしまって…4次元ポケットとか、要は私たちがいる世界は3次元ですよね? 2次元はペラペラの紙の縦と横があるだけで、私たちは上下とかいろいろの3次元の空間で生きてるわけですけれども、ここに4次元という…これは何かっていうのはけっこう難しい議論があって、時間の概念なのか、だからタイムトラベルができちゃうのかとか、まあいろいろあって4次元ポケットの中はどうなってるの、っていうことで、けっこういろんな議論があります。

先生がすごいなと思うのは、ドラえもんが必要なものをすぐに取り出せることで、あの中がグチャグチャになってなくて。」

質問者「うんうん。」

坂本先生「それがどういう原理になっているのかというのもいろいろあって、そこも実現しなきゃいけないとなると、よく宇宙の話で出てくるワームホールで空間を繋げばいいんじゃないかとか、難しい話になるんですけど、そこがなくてもいいなら2030年ぐらいにはできるかなと思っています。」

質問者「はい。」

アナウンサー「10年後?」

坂本先生「そうですね。」

アナウンサー「ということは、○○さんは小学校5年生ですから、20才か21才ぐらいですよ。」

質問者「そうですね、見ることができるかもしれないってことですね。」

 

Q5 カマキリの卵を見つけて、家の外に置い

  ていたんだけど、2月に孵化してしま

  い、今ショウジョウバエやアブラムシを

  あげています。あげているんだけど脱皮

  をしません。それはなぜですか?

  (10才男子)

 

アナウンサー「なかなか脱皮をしない、心配ですね。」

質問者「はい。」

アナウンサー「毎日、様子を見ているんですね?」

質問者「はい。」

久留飛先生「少し早めに孵ってしまったんやねえ。今、何匹ぐらいいてんのん?」

質問者「今は1匹ぐらい。」

成島先生「1匹…!」

久留飛先生「1匹? 卵の中から…卵嚢という塊の中から出てきたのは1つだけ?」

質問者「はい、卵嚢から出てきたのは1つだけ。」

久留飛先生「ふううん…そうか、今はアブラムシをやってるんやねぇ。」

質問者「はい、アブラムシやショウジョウバエをあげてます。」

久留飛先生「すごいな。ちゃんと食べてる?」

質問者「はい、食べて、もうお腹が膨らんで、もう十分ぐらいです。」

久留飛先生「ほんならもう少し待ってたら脱皮するかもしれんな。カマキリは脱皮をする時によく失敗するんよ。何でか言うたら足場というか、しっかり掴まる場所をこさえておかへんとあかんねんけど、カマキリいる場所は透明のプラスチックの容れ物の中か?」

質問者「はい。そこにガーゼやそういうのを張って。」

久留飛先生「張ってるねんね。ちゃんとした、歩けるようにはなってるわけや。」

質問者「はい。」

久留飛先生「ふんふん、ほんならちゃんとエサも食べてて、足場もちゃんとあるということやったら、うまく脱皮できると思うけどなぁ。」

質問者「はい。」

久留飛先生「うん…もう少し様子を見たらどうや?」

質問者「はい、分かりました。」

久留飛先生「そんな簡単な質問なのかどうか心配してて、ひょっとしたら病気になってるかもしれないと思ったけど、ちゃんと食べてるしお腹も膨らんでるから、うまく脱皮するんちゃうかなあ…。ただ、卵から孵化する時期が早すぎたわなぁ。」

アナウンサー「いつもだといつ頃に孵化するんですか?」

久留飛先生「野外にアブラムシが出てきた後に出てこないと…自分が先に出たらエサがないから困るわけや。」

アナウンサー「あっ、そうですね。」

久留飛先生「ほやから、自然の状態では5月ぐらいになって出てくる方が良いやんな。そやけどあなたはちゃんとエサも与えてんねんから、もう少し様子を見たらいいと思うけどな。」

質問者「はい。」

アナウンサー「何でしょうね? エサも食べているし、病気でもなさそうだと。」

久留飛先生「そう、元気そうやねぇ。」

アナウンサー「○○君、大きさはどれぐらいなんですか?」

質問者「えっと、まだ1センチもないくらいです。」

久留飛先生「そうやんね。いちばん最初に出てきたらすぐ脱皮をして幼虫の形になるから、それから脱皮してないということやんな。」

質問者「うん。」

アナウンサー「カマキリというのは脱皮してどんどん大きくなっていくんですか?」

久留飛先生「そうなんですよ、何回も脱皮を繰り返して大きくなって、夏ぐらいになるといよいよ羽が生えて成虫になるわけやからな。

ただ、自分で飼ってたら、いちばんの心配は脱皮の時によく失敗をして、脚の先っちょが殻から抜け出れなかったりすることがよく起こるから、それだけは注意かな。」

質問者「うん。」

アナウンサー「動いてますか? それともジッとしてますか?」

質問者「ジッとしてる時もあるし、動くこともある。」

アナウンサー「じゃあ弱りきってはいないですね?」

質問者「はい。」

アナウンサー「なるほど。ちなみに名前はつけてるんですか?」

質問者「名前はつけてません。」

アナウンサー「そうなのね(笑)。心配ですけどねぇ…今までカマキリの卵を孵したことはあるんですか?」

質問者「いや、これが初めて。」

久留飛先生「ゆっくり観察してみてね。」

質問者「はい。」

 

Q6 イヌとサルは犬猿の仲と言われているの

  に、何で桃太郎では一緒に出ているんで

  すか?(8才女子)

 

アナウンサー「そうねぇ、桃太郎ではチームになってますね。仲が悪いというのは誰から聞いたの?」

質問者「母ちゃんから聞いた。」

成島先生「んー、難しい質問だねぇ…。桃太郎のお話は知ってる?」

質問者「知ってる。」

成島先生「どういうお話でしたっけ? おじさんに教えてくれますか?」

質問者「えっと、おじいさんとおばあさんがいて、おばあさんが川に洗濯に行ったら桃が流れてきて、それで拾って、割ったら桃太郎が出てきて…」

成島先生「そうだったよね。それで大きくなって鬼退治に行くんだね。」

質問者「うん。」

成島先生「その時にイヌとサルとキジが…きび団子だっけ、きび団子をもらえるよってお供になって、鬼退治に行く、そういうお話でしたね。」

質問者「うん。」

お子さんが桃太郎の中身を最後まで話すのを待ってたら時間が足りないと判断したのか、ご自分で言ってしまう成島先生。でも成島先生はいつもお子さんが話すように誘導してるんだな~そういうところ好き。

 

成島先生「その時さ、ふつう僕たちはイヌやキジやサルとお話しできないじゃない?」

質問者「うん。」

成島先生「でも桃太郎はお話ししてた?」

質問者「してた。」

成島先生「そうすると、イヌとサルが仲が悪いのも不思議だけど、桃太郎とイヌやサルやキジがお話をしたということも不思議だよね?」

質問者「うん。」

成島先生「おじさんが思うには、これはたぶん、このお話を作った人が、イヌやサルやキジや人間がみんなお話をできて、仲良くチームを組んで悪いことに立ち向かうといいなって望んだんだと思うんだ。」

質問者「へえええ。」

成島先生「本当ならばできないじゃない? お話もできないし、お母さんが言ってるようにイヌとサルはとっても仲が悪いんだよね。だけどお話の中では一緒になって桃太郎チームを作って、鬼退治に行くじゃない? そういうふうに悪いものをみんなで協力してやっつけるためには、一致団結しなきゃだめじゃない?」

質問者「うん。」

成島先生「そのためには言葉の壁を越えて…言葉の壁って言うと難しいかな(笑)、同じ目標に向かっていくことを、昔の物語を作った人は希望して、そういうお話にしたんだと思う。」

アナウンサー「先生、伺いたいんですけど、桃太郎から離れて考えると、そもそもイヌとサルは仲が良いんですか? 悪いんですか?」

成島先生「まずイヌというのは肉食動物ですよね。サルというのは若干昆虫なんかも食べますけど、基本的には植物食動物ですよね。だからサルはイヌに食べられるという…」

アナウンサー「えっ!」

成島先生「イヌの祖先はオオカミですから、オオカミはサルがいれば、特に小っちゃい子どもがいればエサとして食べる可能性は十分あるわけですよね。」

アナウンサー「子イヌや子ザルの頃から一緒に飼ってれば仲良くなれますか?」

成島先生「それはそうです。でも、そういうことはふつうは起きないわけですよね。基本的には肉食動物は草食動物をエサとして食べますから、食べられたらかないませんので、当然サルはイヌが来れば警戒して逃げるわけですよ。」

質問者「本来は逃げる。稀に仲良いレアケースもある。」

成島先生「ええ、犬猿の仲と言われてるけれども、動物園なんかで小さい時から一緒に飼ってると仲良くなって、一緒に暮らすことが可能ではありますけど、それは非常に稀なケースで、基本的には自然の中では起きないんですね。」

アナウンサー「なるほど。○○さん、ということは、今の先生のお話だと本来は仲が悪いけど、場合によっては良いこともある。そして桃太郎のお話では、鬼退治という共通の目標があるので、みんなで話し合ってチームを作ろうと決めたのでしょう…」

成島先生「と想像しますね。」

アナウンサー「○○さん、いかがですか? 大丈夫かな?」

質問者「うん。」

成島先生「お話の問題と科学の問題と、別に考えた方が良いと思うんだ。」

質問者「はい。」

 

Q7 すぐ自分と人とを比べてしまいます。人

  とは比べない方が良いと言われても比べ

  てしまいます。どうしたら直せますか?

  (小5女子)

 

アナウンサー「どんなことで比べちゃいますか?」

質問者「例えば、妹が宿題が少なくてずるいと思ったり、友だちの方がテストの点が良かったりすると落ち込んだりします。」

アナウンサー「うんうんうん……そうかぁ…つらい思いをしたんですね?」

質問者「はい。」

野矢先生「まず、性格というのは本当に人それぞれだよね?」

質問者「はい。」

野矢先生「いろいろな性格の人がいるから、こういう性格にならなくちゃいけないということはなくて、○○さんは○○さんの性格を持っているわけだよね?」

質問者「はい。」

野矢先生「でもその中で、自分の性格に素直に従ってたら困っちゃうこととか、かえって自分がつらくなったり、あるいは人に迷惑かけたりすることがあったら、何とかしなくちゃいけないな、ということにもなりますよね?」

質問者「はい、そうですね。」

野矢先生「逆に言えばね、もし、その性格で自分自身が困ったりつらかったり、人に迷惑をかけたりすることがなければ、それは自分の個性だと思って、受け入れればいいわけだね。」

質問者「ああ…まあ、そうですね。」

野矢先生「どうなんだろう、困っちゃってる?」

質問者「困ってますね正直。」

野矢先生「困ってますか(笑)。じゃあ何とかしなくちゃいけないよね。でも、性格を変えようと思う部分と、変えなくてもいい部分があるから、そこはちゃんと見ていかなくちゃいけなくて、人と比べて悔しいなと思うから頑張るということもあるよね?」

質問者「うーん、私はどちらかと言えば、悔しい方が多いですね。」

野矢先生「うーん…それでかえってつらくなっちゃうわけだね?」

質問者「はい…。」

野矢先生「そしたら、人と比べてすぐ落ち込んだりするのは、やっぱりなかなかつらいことなので、少し弱くしていった方が良い。それは○○さんも頭では分かってる。だから何とかしたいってわけだね?」

質問者「はい。」

野矢先生「性格というのはね、すぐには変わりません。でもね、変わります。」

質問者「はあ。」

野矢先生「特にまだ小学校5年生、…えっと何才だって?」

質問者「11才です。」

野矢先生「11才。若いなんてもんじゃないですね。これからです。私みたいに65才とかいうと変わる見込みはもうほとんどないですが(笑)。どんどん頑固になってきて。

でも、まだまだ柔らかい、これから変わっていける。ただし、ゆっっくりとしか変わらない。すぐには変わらない。

じゃ、どうすればゆっくりだけれども変わるかって言ったら、やっぱり最初は自分で頭で分かって、“あ、こうしない方が良いな”っていう気持ちを自分の中に教えてゆくこと。それからもう1つは、…難しいかもしれないけれども、“あ、こういう人が良いな”っていう先生でもいいし、ご両親でもいいし、友だちでもいいし、別の人でもいいけれども、“こういう人が良いな”と思ったら、そういう人の良いところ、自分が良いなと思うところを真似してゆく。“あんなふうになりたいな”、“こういう時、あの人だったらどんなふうに考えるだろう、どんなふうに思うだろう”っていう人を見つけるというのも、すごく良いことだと思うね。」

質問者「うん。」

野矢先生「自分の中にどんどん引き込もっていって、自分で自分を責めてると、かえって出口が見つからなくなってくる。自分の外に目を開いて、ああなりたいな、こうなりたいなって思って、そしてゆっくりゆっくり10年後、20年後、場合によっちゃあ30年かかるかもしれないけれども、でも性格というのは本当にゆっくり変わってゆくから。」

質問者「はい。」

野矢先生「ね、すぐには変わらないよ。」

質問者「うん。」

野矢先生「みんな大体そうやって、自分の中に困った自分を抱えて生きているんだよ。だから困った自分がいても、それもやっぱり自分なんだなと思いながら、ゆっくりつき合ってゆくことですね。」

質問者「はい。」

野矢先生「これは別に哲学の答えじゃなくて、先生は自分のことを振り返って、“ああ、そう言えば若い頃こうだったけれども、今はもう少しましになったかなぁ”なんて反省しながらしゃべっていました。それは他の先生方もいろいろ思い当たるところがあるんじゃないかなと思うので(笑)…」

アナウンサー「坂本先生はいかがですか?」

坂本先生「えっとですね、AIとかロボットには基本的に性格を持たせないんですね。というのは、今、○○ちゃんも自分の性格で苦しい、どうしてこう思っちゃうんだろうって悩んでると思いますけど、AIとかが人に嫉妬しちゃったり、そういう感情を持っちゃうと、けっこう面倒なことが…“こういうことをやらせたい”というのがあるのに、うまくできないと嫉妬しちゃって、結局そのAIは人間にとって役に立たない。だからAIには性格を持たせないんですね。」

質問者「なるほど…。」

人間の役に立つために性格は不要、そして故障防止のために疲れや痛みをある程度感じさせる…人間の欲が深くてモヤモヤする。

 

坂本先生「もう1つ、AIはプログラムなので、基本的に問題解決をするように動いちゃうんですよ。人間だったら悔しいと思った感情が“悔しい、悔しい”って続いていくこともあるけど、AIの場合はどうやってそれを解決するかを考えちゃう。悔しいから頑張るっていうふうに課題解決に動けばすごく良いんだけど、場合によってはちょっと怖い話になっちゃいます。“悔しいから悔しい原因を消しちゃおう”って動いちゃう、その感情の原因になるものを消すことに動いちゃったら、いわゆる怖いAIの話になるでしょう?」

質問者「あ……怖いAI…。」

坂本先生「AIで性格ってなると、そういうことを思っちゃいました。」

アナウンサー「いかがですか?」

質問者「えっ…と、自分の性格はまぁしょうがないなって思うところもあるなって分かったし、AIは怖いこともあるなと思いました。」

坂本先生「(笑)ごめんね変な話をしちゃって。」

アナウンサー「すぐには性格が変わらないし、大事にしてほしい部分もあるし、これからゆっくり変わっていくところもあると思うの。いろんな人に会ったり本を読んだり、本とか実際に会った人の中で、さっき野矢先生が言ってたみたいに理想の人を見つけて“こんなふうになってみたいな”なんて思うのも…」

野矢先生「いや、理想の人なんていないですよ(笑)。」

アナウンサー「ああ先生、またそんなことを言う…(笑)。自分のヒントになるような、生き方のヒントになるような考え方とか、自分と同じような思いをした人の話を聞いてみるとか…」

野矢先生「うん、そうですね。」

アナウンサー「そういうことをすると、きっとまた良いことあるよ、○○さん!」

質問者「そうですね。」

坂本先生「○○さん、そういう人間らしい感情、すごく素敵だなあと思いました。いろいろ考えて、それを乗り越えるととても素敵な人になっていくんだろうなと思うので。」

質問者「ありがとうございます。」

アナウンサー「○○さんだけじゃなくて、そういう悩みを持ってる人も多いと思うので、そんなお友だちを見つけたらお話をしてみてくださいね。」

質問者「はい、分かりました。」

野矢先生の「性格はゆっくりとしか変わらない」は同意しかない。でも自分の嫌なところを自覚して、全国放送のラジオに実名で相談することが前向きだし真摯だし…素晴らしいお子さんだと思ったな。

 

Q8 何でAIはお仕事を頼むとそのお仕事をし

  てくれるんですか?(5才男子)

 

アナウンサー「AIに頼むとそのお仕事をするするというのは、どこかで見たのかな?」

質問者「うん、EテレWASIMOで、見ました。」

アナウンサー「(笑)EテレWASIMOっていう番組あるね。ちなみに○○君は頼まれると、何かお仕事をしていますか?」

質問者「はい。」

アナウンサー「誰から頼まれるのかな?」

質問者「ママ。」

アナウンサー「(笑)ママがお手伝いをお願いするのかな?」

質問者「はい。」

アナウンサー「そっかぁ、○○君も頑張ってるね。」

坂本先生「AIは、あらかじめそのお仕事をするように学習をさせておけば、その仕事をとにかくやるようにプログラミングしてあるので、そのように動くということなんです。嫌だ、やりたくないという好みを持たせていないので、人間なら嫌だなぁと思うことも思わずにひたすらできる、というのがAIの特徴です。それもすごく高速に、かつ高い精度、すごく正確にやることができるので、例えば医療の分野でガンの診断とかを人間よりも速くたくさんやれちゃうので、役に立っているんですけど、実はものすごーくたくさん学習、お勉強をしておかないと、そんなに簡単にはできなくて、人間だったら簡単にできることも実は難しかったりするんですね。○○君はお洗濯物をたたんだりするお手伝いはしますか?」

質問者「はい。」

坂本先生「えらいね! AIとかロボットはガンの診断はできちゃうのに、お洗濯物をたたむことは実は難しいんです。というのは、まず、洗濯物のそれがハンカチなのか下着なのかTシャツなのかを見て、認識して、分類しなきゃいけないんですね。これを1個1個、すごくたくさん学習させないとできなくて、じゃあこれは下着だとなったら、今度はそれをたたむという動きをコントロールして、たたんでいくと形がだんだん変化していくでしょ? それに応じて腕とか指を微妙に動かすことも、実は難しいんです。でも人間はそれを子どもでも簡単にやれちゃう。だからすごいんですよね。そんなに簡単にできることがあるんだけど、AIよりもお仕事がうまくできないな、ちゃんとやれないなと思うことがあるとすると、それはもっと他にやりたいこととか好みがあったりして、人間は言われたことを黙々とやることがなかなかできなかったりするのかな、と先生は思います。

だから、○○君がもし、“本当はお外に遊びに行きたいのにな”、“テレビ見たいのにな”と思っても、ちゃんと洗濯物をたたんだり、お母さんのお手伝いができるんだとすると、自分の他にやりたいことへの気持ちに打ち克ってやっているわけだから、すごいなあって先生は思います。」

アナウンサー「ちなみに○○君の得意なお手伝いというのはどんなことがありますか?」

質問者「料理を作るところ…」

アナウンサー「料理!? えっ、料理をお手伝いしてるの?」

質問者「うん。」

坂本先生「すごいね。」

アナウンサー「すごいね! どんなお手伝いなのかな? どんなことをやってるの? 野菜を洗ったりしてるのかな?」

質問者「はい。」

アナウンサー「ああ…! えらいですね。」

坂本先生「うーん、すごいですね。お料理のロボットもイギリスの方で作られてるんですけど、腕だけなんですけど、けっこうな金額なんですけど(笑)。でもお料理ってやっぱりすごく大変で、やろうと思えばロボットにもできるんですけど、家族の好みに合わせて、“今日はこういう味付けにしようかな”っていうのは、やっぱり人間の方が上手にできるんじゃないかなと思います。」

アナウンサー「ああ…医療とかお料理の分野でAIが頑張ってるそうですけど、お仕事に飽きちゃったり疲れちゃったりすることはないのですね?」

坂本先生「そうですね、疲れるという機能は持たせていないので、どんだけ長くても壊れるまでやり続けることができると思うんですね。電気がなくなるまでとか。そこは人間と違うすごいところですよね。」

アナウンサー「これからどんどんAIの機能は向上していくんでしょうかね? やれることは増えていきそうですか?」

坂本先生「そうですね、人間が“これは面倒だから、やりたくないから他のものにやらせたい”と思うものがあれば、やっぱりそういうものを作っていくので、AIとかロボットはそういうところに活用されるようになると思います。」

アナウンサー「分野が広がっていくかもしれません。○○君、という坂本先生のお話でした。どうですか? Eテレを見て興味を持ってくれたんだもんね?」

質問者「うん。」

アナウンサー「これからもますますAIに興味を持ってくださいね。」

質問者「はい。」

 

アナウンサー「午前中の相談の時間があっという間に…間もなく11時50分となりそうですけれども、皆さん、今までのところを振り返っていかがでしたか? いろいろな質問がありましたよね?」

久留飛先生「そうです。確かに知識を寄せ集めて分かるものではないものが多いですから、それを自分がどう考えるか、ということがいちばん問題になりそうな感じがしますね。」

アナウンサー「久留飛先生にも何か突きつけられるというか、考えさせられるところが…」

久留飛先生「全てそうですよ、最後の女の子の“悔しい”っていう…あんなん私なんかしょっちゅうですからね(笑)。」

野矢先生「(笑)」

久留飛先生「悔しいばっかしで。悔しいこと考え続けたら、そのうち飽きてしまうみたいな…それで解決してるようなとこもありますから(笑)、悔しさを考えるというか思うことはとても大事かなと思いますね。それをちゃんと言えることが…」

アナウンサー「すごいですねぇ。」

久留飛先生「ちょっと言いにくいことだと思うんですけど。」

坂本先生「確かに。」

アナウンサー「これを口に出して言ってみる、考えてみるというのも良いことですね。」

久留飛先生「それが良いと思います。」

 

          10時台・11時台終わり