あせらず、さわがず

アラフィフおばさんが脈絡なく書いてるブログ~あとは野となれ山となれ

オペラのオーディションをド素人が観覧してきた

今回もさわかみオペラに関する記事です。
いわゆる「オペラ」を観たことも無い、イタリア語も英語も分からないド素人なのに何故オペラのことばかり…
知らない世界だからかもしれません。
知らないとその時に見聞きしたものだけを文章化するから、そんなに大変ではないです。

仕事にしてる介護とか自分のライフスタイルとか好きなものとかになると、要素が長年に渡って複雑に絡み合ってるようなイメージで、整理して文章にするのが難しいと感じます。
正直、自分のことを文章化することでもあるので「そんな大したものじゃないし」と逃げの姿勢でもあるのですが。

まあ、自分のことはさておき。やっぱり逃げる。

先月のコンサート形式の「トスカ」からちょうど1ヶ月、今年のさわかみオペラの演目「蝶蝶夫人」のキャストオーディションが3日間にわたって行われました。会場も先月のコンサートと同じイタリア文化会館のホール。
https://sawakami-opera.org/

キャストオーディションと同時に、イタリア留学の助成者を選ぶオーディションも行ってます。財団HPにもありますが、オペラの本場で修行させて、本物のオペラの魅力を観客に届けることが出来る歌手・演奏家を育てる事業もやっているのです。

その留学をした人をイベント後のレセプションや懇親会で紹介して、歌や演奏を披露してもくれるので、私も何度か聴かせて頂いています。

そのオーディションを無料で一般公開するという、ビックリなイベントでした。たまたま3日間の中で休みがあったので、観覧してきました。

ポジションを与える/得るための選考ですから、観客に聴かせる本番とは違うというだけで、貴重な機会だと思いましたし、今まで聴いてこなかったオペラの歌唱を生で、しかもタダで聴ける!という、非常に不純な動機も相当ありましたし。
さわかみオペラがどうやって「総合芸術」であるオペラを創っているのか、それをちょっとでも知ることが出来るというのも面白いと思いましたし。

平日の昼間に私のようなド素人一般人がどれだけ来るのかは全く分からないままですが、私が観覧した日は、おそらく私だけだったのでは…。オーディション受験者とその知人友人関係者が99.9%だったと思います。
場違いにも程がある。
場違いなのは重々承知ですので、とにかく悪目立ちしないよう、服装はダークトーン、観覧していいエリアの隅に座って存在感を消しまくって存在しておりました。そんな私でも受付の方は丁寧に案内して下さいました。



審査員は…、ボローニャ歌劇場フィルハーモニー芸術監督でさわかみオペラ財団の芸術監督でもある吉田裕史氏、アンコーナ歌劇場芸術監督のイタリア人(お名前をどう表記していいか分からない…無知にも程がある)、財団理事長の澤上篤人氏でした。



受験者本人による自己紹介も歌も、当たり前ですが全部イタリア語です。何とか聞き取れたのは受験者の名前とオペラのタイトル(しかも聞き覚えのあるものだけ)くらいで、異世界、アウェー感ビシバシ。英語で自己紹介した方のだけ聞き取れて意味が何となく分かってちょっと安心。

受験者が課題曲を1曲ずつ歌っていくのをずっと繰り返すのかと思っていましたが、およそ1時間で10名ほど歌ったところで次のラウンドに進める受験者を発表して休憩、休憩後に進出者による次ラウンドでの歌唱という流れでした。

HPの応募要項を前もって読んだ時に、オーディションは第1ラウンドと第2ラウンドがあって、第2ラウンドでは審査員の指示に従って歌う…とありましたけど、一般公開は第1ラウンドだけだと思い込んでました。
ですが実際は第2ラウンドも観覧できました。しかも、第1ラウンド終了して審査員消える→審査員が戻って受験者をステージ前に集める→吉田氏とイタリア人芸術監督による講評→第2ラウンド進出者発表…てところまで見られたのです。
こんな文字通りの舞台裏、専門性の高い部分まで公開とは思ってませんでした。

ま、イタリア語からの日本語通訳による講評、私は絶対に深くは理解できてませんけど。吉田氏は日本語で話しましたが、いちばん聞きたかった部分をイタリア語で言ってしまってたなー。日本語に訳しにくい言い回しなのか、部外者には聞かせられない内容なのか。
澤上氏は「第2ラウンド、勉強になるから、時間あったら必ず見た方がいい。進めなかった方もぜひ!」とシンプルなお言葉のみ。


第2ラウンドでの審査員の指示や受験者の受け答えも当然ながら全部イタリア語。発音とか発声の指導なのかなあと感じたやりとりもあったけど分からずじまい。

そもそも各ラウンドが終わったってことも観覧席にいた人達が一斉に立ち上がったのを見て知るという、空気の読めなさ。場違いにも程がある。一応、受付の方に確認したけど。

そんなアウェーな場で私は何をしていたのか。

発音とか技術的なことはもちろん、歌の内容もどんな場面の歌なのかも何にも知りませんので、声質とか声色の違いをぼんやりと聴いてました。
その違いがどう評価されるかも分かりませんので、ただ「違う」ことだけを感じながら。

同じ課題曲を歌った歌手どうしだと、声の違いが特に分かりやすかったです。無知と無礼を承知で…片方はまろやかで丸みがあってホールに響いていたのに対し、もう片方は声の芯がむき出しな感じで響きも今ひとつ。私はホールの最後方の席にいたので、自分と声との距離の違いも何となくですが感じてました。

以前に観たさわかみオペラに出演されていた歌手や財団の助成でイタリア留学を終えた歌手もオーディションを受けていました。審査員とのイタリア語での会話のテンポが早くて、そのコミュニケーションからも何かを得ようとしてるんだろうか。既に舞台で活躍されている方だと説得力のような圧力を感じた一方、この日初めて聴いた歌手はキラキラ系の華やかな声が印象に残ったり。
あと、ホールの壁からの反響なのか、ミ~~っていうような音みたいなのがビブラートと一緒に鳴っていたのって、良いことなのかどうか。

歌を聴いて思ったのはそんなところです。

他に思ったこと
1.歌唱してたのは全員ほんの数分だけど、その中でも短い歌と長い歌があって、その差を歌手自身は気にしないのか?
長く歌える曲だとその分、自分を長くアピールできそう。逆にド素人が「え、もう終わり?」と思うような短さだと、それで評価されてOKみたいなある種の自信と集中力が必要そうだし。

2.伴奏のピアニスト
受験者が自分で手配・帯同したピアニストか、財団が用意したピアニストに依頼するかでしたが、ほとんどが財団のピアニストによる伴奏でした。そしてそのピアニストは、おそらく先月のコンサートで「トスカ」を一人で演奏した篠宮さんではないかと思います。目が悪くてお顔がよく分からないので自信がありませんが…。
で、どうしても受験者が手配したピアニストと比較してしまうのですが、同じピアノを弾いてるのに、音の鳴り方がやはり全く違うんですね。篠宮さん(別の方だったら本当に申し訳ありません)のピアノ伴奏を何曲か聞いた後、その帯同ピアニストに代わったのですが、音量が一気に小さくなりました。歌:ピアノ=2:1のような、ステージの上だけで鳴っている感じなのに、篠宮さんのは堂々とホールに響いてました。歌:ピアノ=1:1ぐらい。そっちを聞き慣れてたのでそれが当たり前だと思ってました。
どちらが良い/悪いではなく、違いを知る面白さ。

3.外国語で歌うのってやっぱり難しいんだろうな。
第1ラウンド後の講評でイタリア人の審査員は、イタリア語で歌うことについて話していました。詳しい内容は通訳を通して聞いてもよく理解できませんでしたが、マリア・カラスはああしてたこうしてたという話も出てました。
本国イタリアにもたくさん実力のある歌手はいるでしょうに、そこに言葉が全く異なる東洋人が食い込んで舞台に立つというのは、ド素人には分からない厳しい競争なのかなーと。
だからこそ、さわかみオペラは日本語オペラを創ろうとしているのかもしれません。日本人の役を得て日本語でアリアを歌うために欧米人がオーディションを受けに来る世界。今、クーデンホーフ光子を題材にしたオペラの台本募集中です。


吉田氏は夢を叶えるためのスキームを持つことを強調していましたし。キャストに選ばれても要求をクリア出来なければ、リハーサルの途中でも降ろされるとか。その降ろされる時に言われることをイタリア語で言ってたんで、そこが解らないのはちょっと残念。

本当に本番の舞台で歌える瞬間までオーディションはもちろん、リハーサルも、常に最高のパフォーマンスをするということなんでしょうか。いつでも代わりを用意できる世界で、常に選ばれる立場の歌手のプロ意識は、こういうものなのかもしれないと考えさせられました。
私なんて、いかにムダな動きと時間を減らすか、退勤時間までに言われたことを終わらせるか、ある意味パフォーマンス最低を目指しているので、ふだんやっていることと真逆の世界を垣間見たことになりました。
比べることも申し訳ない感じ。

この日は中国語でやりとりする中華料理店で食事したのもあって、日本語少なめの半日を過ごしました。

言葉なんてどうでもよくなる時あります。


追記
財団理事長の澤上氏が歌手オーディションのことをブログに書いていました。審査員も地元に帰れば聴衆から評価される立場、歌手の歌への理解度など、ド素人では分からないことを書いています。
https://sawakami.blog/2019/01/%e6%ad%8c%e6%89%8b%e3%82%aa%e3%83%bc%e3%83%87%e3%82%a3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%b3%e3%81%a7%e5%ad%a6%e3%82%93%e3%81%a0%e3%81%93%e3%81%a8.html