あせらず、さわがず

茨城県土浦市でコンパクトに暮らしてみたい

やっとこ読書『霞ヶ浦考現学入門』 

茨城県土浦市に住み始めたとりあえずです。

引っ越して来て1ヶ月が過ぎた最近、ようやく本を読みました。図書館が駅直結なのが気に入って土浦に来たとか書いてる割には読書してないです。出かけたりテレビ見たりラジオ聴いたり、アパートの中の快適化をしたりで、読書も労働もしておりません。

読んだのは
霞ヶ浦考現学入門』沼澤 篤 著 筑波書林
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考現学」という言葉を初めて知りました。『考現学入門』なる本もあると知ったのですが、深追いすると戻って来れなくなりそうなので、突き詰めて考えないことにしました。

以前にも書きましたが、今の自分が霞ヶ浦の水で生きていることから、水質が悪化しやすいという霞ヶ浦のことが気になっています。で、ふらっと入った書店で目についたこの本、「はじめに」が、
霞ヶ浦という現象は、自然現象であると同時に社会現象でもあります。」
で始まってます。いきなり「霞ヶ浦が現象???」と引っかかり、でも霞ヶ浦のことを全体的に知るには良い本ではないかと思い、買いました。

霞ヶ浦周辺の地名や河川名、霞ヶ浦の動植物、理系的な専門用語など、知らない言葉を調べながらでなかなか進みませんでしたが、読んで良かった! 

「泳げる霞ヶ浦」は決してチャラついたスローガンではない。50~60年前には遊泳場が10カ所以上あったのだから。そこには安全に飲める水質、豊かな生態系と水産物、美しい動植物と景観…水郷として理想的な要素が全てあったから。

霞ヶ浦の水質が悪くなりやすいのは、水深が浅いからなのも勿論あるけど、それだけじゃない。浅い湖には浅い湖なりの、いわば霞ヶ浦特有の天然の水質浄化&維持システムがあった。そのシステムが動植物も水産物も景観も「泳げる霞ヶ浦」も支えていたんですね。それらが人間側の都合で無くなっていた。
まあ、ぶっちゃけ環境破壊ですね。

ただ、著者の沼澤氏がこの本で問題視・批判しているのは、そのシステムを無くしたことではないのです(多少はありますが)。それは従来の霞ヶ浦の再生の取り組み方。それらに欠けている認識があるというのです。

それは
「生物を中心とした生態系は、(中略)非生物的環境要因の影響を強く受けて成立している」
ということ。
そして、その環境要因を軽視すると、動植物を保護すれば/増やせばいいと思い込んで、場当たり的で効果もあやふや、事後の検証も不十分な対策や事業の繰り返しに陥る。

それらには当然、予算、人員、時間が使われた訳ですね。沼澤氏は1989年から霞ヶ浦の環境問題を研究してきた理学博士で、この本を書かれた2009年が研究を始めてから20年。いろんな場当たりであやふやなもので膨大な時間が過ぎるのを見て来られたんでしょう。


環境要因というのは、霞ヶ浦のような浅い湖の構造はもちろん、地形、地質。さらに、霞ヶ浦を成り立たせている/いた環境要因、つまり天然の水質浄化&維持システムもこれに入ります。

そして、波浪。波の力。これが霞ヶ浦の水質を良くも悪くもしてるんですけど、人間は悪くしてる方ばかり見ちゃってたようです。が、霞ヶ浦にとっては、水質浄化のキーマン的な役割だというのが、読
むと分かります。

沼澤氏が言いたいのは、霞ヶ浦についての全体的な理解。その全体像がどんなものかをこの本では丁寧に教えてくれていると思いました。まさに入門書としてぴったりでした。

天然の水質浄化&維持システムの仕組みは勿論、人間と社会が霞ヶ浦にどう関わってきたのかについて、歴史や社会経済、治水・利水行政、芸術にいたるまで、まさに霞ヶ浦の「非常に複雑で巨大な現象」が書かれていました。考現学ってこういうこと?

あまりに複雑巨大で知らないことだらけでしたけど、読みながら感じていたことは、
霞ヶ浦、かわいそすぎる、健気すぎる…(´;ω;`) でした。

天然の水質浄化&維持システム、要は霞ヶ浦「周辺」の自然環境なんですが、これが治水・利水・管理の名目でガンガン切られ埋められ持ってかれ。構造上、単独では水質維持が難しいのに、霞ヶ浦は孤立しちゃったんだなーという印象を持ちました。

水だけ貯めとけと? でも、私も初めは水源としてのイメージしかなかったので、ひどい無知&無関心です。

それなのに水が汚い、臭いと文句を言われ。
そのために高度な浄水施設やら設備も備わっているんでしょうが、この本を読むと、まるで人間が血液の人工透析を受けているように思えてきます。

周りがコンクリートだらけなのを、広すぎて殺風景だの変化に乏しいだのと見た目もけなされ。

それでも飲水、農業用水、工業用水としてあてにされ、人間の生活と産業を支え。

最終的には排水だって受け止めてるわけですから。

これを健気と言わずして何と言いましょう…うぅ…
(´;ω;`)

ただ、その可哀想な霞ヶ浦の全体像が分かったところで、どうしたらいいんでしょう? やっぱり巨大すぎて分かりません。働いてもおらず土浦市にまだ1円も納税してませんし、湖沼学的な知見もありませんし。*水道料金はちゃんと払いますよ!

水を無駄使いしないとか、洗剤を使いすぎないとか、霞ヶ浦に汚濁負荷をかけないようにするくらいしか思いつきません。

あとは、霞ヶ浦の水がどんなものか知りたいですね。取っ掛かりとしては遊覧船で沖に行ってみることでしょうか? 暑くなるとアオコが出て臭くなるという噂も聞いたのですが本当なんでしょうか? アオコの臭い自体知りませんが、霞ヶ浦に歩いて行ける距離のうちのアパートまで臭いがくるんでしょうか? となると土浦駅も臭うのかなー。興味はあります。*3.11絡みで臭いのは少しですが慣れてるつもりでおりますよ。

という訳で、ど素人目線で気になっていた霞ヶ浦の今がどういうものかが理解できて、とてもありがたい本でした。

どうやら世界湖沼会議というのが、今年は茨城県で10月に開催されるそうです。それも知らんかった…。この本を買った書店でも、その告知と合わせてこの『霞ヶ浦考現学入門』を紹介してました。
茨城県のサイト:第18回世界湖沼会議2018
https://www.pref.ibaraki.jp/seikatsukankyo/kantai/kosyou/wlc.html

だから10年近くも前の本が並んでたわけですね。
おかげで目につきました。
Amazonにもあってびっくりしたけど、中古なのか、高いです。土浦の本屋に来れば、税込1233円で買えますよ(たぶん、つくばあたりでも売ってるんじゃないかな? 世界湖沼会議の会場にもなるし。知らんけど。)。
Amazonサイト
https://www.amazon.co.jp/%E9%9C%9E%E3%82%B1%E6%B5%A6%E8%80%83%E7%8F%BE%E5%AD%A6%E5%85%A5%E9%96%80-%E6%B2%BC%E6%BE%A4-%E7%AF%A4/dp/4860040805

読んで下さった方、ありがとうございました。