あせらず、さわがず

アラフィフおばさんが脈絡なく書いてるブログ~あとは野となれ山となれ

北大路魯山人の言葉

前回、笠間日動美術館の企画展を観に行ったこと、そこで北大路魯山人の生い立ちと言葉知って偏見が薄れた…ようなことを書きました。
意外に深い「ARTとEAT 食にまつわる美術のはなし」at笠間日動美術館
https://aserazu-sawagazu.hateblo.jp/entry/2019/03/11/214428

感銘を受けておきながら、うろ覚えで言葉をテキトーに書いたのが申し訳なかったので、再度行きました。
で、解説のパネルにあったものを引用します。
「粗末な材料なら粗末な材料を生かすようにして、良い料理を作ることは人生を明るくします。もっと積極的に粗末な材料で美味を生み出す、高価な材料で安価な料理を作る、こんなことも自然学ぶに従いわかってきます。」

前回もそんなに間違ったことは書いてなかったようですけど、なるべくご本人の語りに近い言葉の方が含蓄も深みもあると思います。

里親がコロコロ変わって、里親に見放されないように6歳で家の炊事をやるようになって、材料に恵まれなくてもご飯の炊き具合や材料の使い方生かし方に気を配っていたそうです。
料亭の客が残した料理も簡単に捨てるな、雀や犬にやれ、料理人が試食せよ、持ち帰って家族にひと工夫して出してみよなどと書いているそうですから、
もったいない精神を突き詰めた人なんでしょうね。
「こじらせた」とも言えるかもしれませんが…。

意外に深い「ARTとEAT 食にまつわる美術のはなし」at笠間日動美術館

笠間日動美術館
http://www.nichido-museum.or.jp/

茨城県笠間市にある美術館ですが、ここの友の会の会員の継続手続きがてら、今やっている企画展「ARTとEAT 食にまつわる美術のはなし」を観に行きました。

友の会ではいちばん安い年会費4000円の一般会員ですが、10回入館料無しで入れて、館内カフェのコーヒー券が5枚貰えます。あと、同伴者1名に限り無料入館の1回分を使うこともできます。一般の入館料が1000円なので、4回行けば元がとれます。
去年初めて会員になりましたが無事に元がとれました。

実は前回から4か月ぶりです。私は冬に面倒くさがりが強くなるので、寒い中身支度して40km運転してっていうのが億劫になってました。

久々に行ったら美術館はケータイの電波が入るようになり、無料Wi-Fiまで使えるようになってました。
今まで美術館に居る間はケータイ・スマホが使えなかったんです。今の時代、こういうのから強制的に離れる時間空間がある方がいいのかもしれないと思う一方、便利になった点では会員継続して良かったたとも思います。

今回の企画展「ARTとEAT 食にまつわる美術のはなし」。1/2~3/17。
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年明け早々からやってた。
去年郵送されたチラシのイメージで、食べ物の絵がいっぱい観られる…くらいのテキトーさで展示室に入りましたけど。美術館はもちろんそんな単純さで企画する筈もなく。

静物画の素材、空間にある物質、宗教、象徴、文化…。「食べ物」「食」の役割とか意味をふだんとは違う角度から見せてもらいました。

それに絵画だけではなかった。器・皿も食を彩るものとして展示されてましたけど、竹久夢二棟方志功藤田嗣治とか、陶芸と結びつかない人が絵付けしたものは意外性で面白かったですねー。片岡鶴太郎の作品もありました。今年の秋に片岡鶴太郎の企画展をやるという告知があり、その前宣伝なのかもしれません。

食と器ときて、最後に北大路魯山人の作品が多数。
某漫画のキャラクターのモデル、美食家という言葉のイメージで、全く親近感がわかない人でしたが、幼少時の苦労を今回初めて知りました。
今で言う不倫関係で生まれて(出生については美術館の解説にはないです)、すぐに里子に出されて、諸々の事情で里親を転々として、6才で養子になった家で炊事をしていたと。裕福ではない家で食材に恵まれない中、養親に見放されないように工夫を凝らして食事を作っていたと。背景を知ると見方が変わりますね。
「粗末な材料も大事にして良い料理を作ることは生活を良くする」みたいな言葉もありました。グサグサ。

ちなみに、笠間日動美術館には同じ笠間市内に「春風萬里亭」という分館もあります。これは魯山人の家で、鎌倉から移設したものだそうです。魯山人への偏見で関心がありませんでしたけど、行ってみようかなーくらいの気にはなりました。

入館時間が遅くてあまりゆっくり観られなかったので、出来ればもう一回観に行きたいです。魯山人の言葉をもっと正確に書きたいし、意味とか象徴とか抜きで食べ物の絵を楽しんで眺めたくもありますし。


この美術館には昔々、高校生の時に何度か行ってまして、そのうちのシャガール展が特に印象に残っています。「夢のような」という言葉がありますが、私にとって夢のような美しさを具現化したものがシャガールの作品となっています。
その後は長いこと仙台にいましたが、2013年に宮城県美術館で開かれたシャガール展で「夢のような」作品に再び会えたのは本当に嬉しかった。嬉しかったので2回観に行きました。

笠間日動美術館に再び行くようになったのは、一昨年カウンセリングに通い出したのがきっかけでした。当時の仕事へのストレスでちょっとおかしくなりかけてたのですが、カウンセラーから、自分が喜ぶことをしなさいと言われて、何回目かのカウンセリングを受けた帰りに行って、その時に少し迷いましたけど会員にもなりました。

当時の働き方では休みの日に美術館に行く気力も体力もありませんでした。高校生の時は電車を乗り継いで、駅から歩いていたのに。ケータイもナビもない時代に必死に地図を見て、方向音痴でも頑張って行ったら、知識もセンスもないのに夢のように美しいものを観ることができた。
つらつら思い出しているうちに、こういうアートを時たま眺めるために、会員の特典をちゃんと活用できる生活をしたいなあ…と思うようになって、今の週4派遣の働き方になったという訳です。

今年も活用します。

超贅沢な弦楽アンサンブル~本当に超贅沢だった

さわかみオペラによる超贅沢なイベント、「ボローニャフィルの首席たちによる超贅沢な弦楽五重奏」を聴いてきました。
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ボローニャフィル(ボローニャフィルハーモニー管弦楽団)とは、イタリアのボローニャ歌劇場の専属オーケストラ。さわかみオペラが毎年開催するジャパン・オペラ・フェスティバルで演奏を担当しています。
さわかみオペラの会長、澤上篤人氏がブログでその素晴らしさをよく書いていました。

そのボローニャフィルの弦楽器の首席奏者とコンサートマスターによるアンサンブルを、3000円で聴けるという、超贅沢なコンサートだったので、またまたイタリア文化会館まで足を運びました。もう4度目、前回が1月下旬ですので、方向音痴でもさすがに道を覚えました。

入場して手渡された透明ビニール袋に入っていたのは、チラシとアンケート用紙、そしてCD。え?CD…ボローニャフィルによる「イタリアオペラ管弦楽曲集」!
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よく見ると今までのジャパン・オペラ・フェスティバルでの演奏を収録したという「非売品」。
これだけでも2000~3000円で売れそうなのに。私は2000円なら買ってたはず。開演前から既に贅沢、そして太っ腹。

ちなみにCDジャケットの裏にさわかみオペラ財団の活動と、ボローニャフィルについての紹介文が載っています。一人称「ウチが~」とあるので、おそらく会長が書かれたものと思います。スッキリと簡潔にまとまっていて、本来ならこんなド素人の私のブログなど必要ないです。

弦楽アンサンブルを初めてライブで聴きましたが、音が分厚くて力強かったです。曲によって音色を変えてくるのか変わるのかは分かりませんけど「あ、さっきと違う」のは分かったし、チェロとコントラバスの二重奏ではピチカートに色気のようなゾワゾワするものを感じましたし。
耳と舌の肥えた人なら「芳醇」と表現するのでしょうが、私はお酒全般があまり飲めないのであまり使えない言葉です。聴きながら浮かんだのは焼きたての厚切りバウムクーヘン……。

演奏した5曲の中ではプッチーニの「菊」のメロディーが印象に残りました。他の曲と違って短調だったせいなのか、去年聴いた「トスカ」を思い出したせいなのか。「トスカ」もプッチーニの作品ですし。
プッチーニパトロンが亡くなって追悼のために作られたそうで、肌寒い部屋で薄紫の菊を眺めているような、悲しくも美しいメロディーでした。


この日も会長の澤上氏の姿を見られて嬉しかったのですが、開演前のスピーチが私にはとても良かったです。オペラ=歌のイメージだけど、オペラは歌だけじゃない、音楽もある、歌を支える音楽の素晴らしさを味わってほしい…っていう内容でしたけど、以前に「オペラは総合芸術」と話していたのを思い出させてくれました。
単に演奏が素晴らしいから、ハイレベルな人達だから聴いて下さいという訳ではないんですよね。総合芸術であるオペラの文化を広める活動の一環だから、同じ首席奏者でも歌劇場専属オーケストラの首席奏者なんですね。

そういえば、私も大昔は吹奏楽部で「バレエ音楽」なるものを演奏する側にいました。バレエもオペラと同じ舞台芸術です。とは言え、当時はコンクールを勝ち進むために、楽譜と指揮者の指示に合わせることしか考えてなくて、その曲の踊りを見たことがほとんどありませんでした。ネットもないし、バレエ作品のビデオもそう簡単に入手できませんでしたし。せいぜいバレエの元になっている小説や神話を読んだぐらいで、舞台芸術の一部という意識は持ったことがありませんでした。

ま、自分のことはさておき。
今回は座席を前の方でとっていたので、会場のイタリア文化会館ボローニャフィルの関係者なのか、イタリア人と思しき人達が、澤上会長や財団職員と話しながら最前列に座る様子を近くで見ましたけど、

みんな背ぇ高っ! 脚 長っ! 鼻 高っ!

ていうのが開演前のいちばんの印象でした。舞台上の首席奏者さん達も、みんな、ベルトの位置が高かった…。
さわかみオペラの活動には日本人の歌手・演奏家の育成援助もあって、イタリアの歌劇場で修業させているのですけど、こういう人たちと競わなきゃいけないのかあ…と、研修生の方々の苦労を勝手ながら想像しました。サッカー選手もこんな感じなのか。

勝手に想像しましたが、そういう中でイタリア歌劇場で主役を得る方もいるというのが、本当に素晴らしい。


最後に田舎者の発見。イタリア文化会館と古本屋街の神田が実は近かったこと。コンサート前に神田のインドカレーのお店でカレーを食べました。SNSで知った「インドカレーカーマ」です。去年、ランチの時間帯には行ったことがあり、なかなかタイミングが無かった夜の時間帯に今回やっと行けました。
(年のせいかかなりお腹いっぱいになりました。次回行くことがあったらご飯少なめで頼んでみようか。)

インドカレーカーマからイタリア文化会館まで徒歩で20分くらいでした。道順も複雑ではなかった。
以前処分してから後悔した古い本がありまして。けっこう古くて図書館にもないし、近場の古本屋も見てみたけど無かったです。ネットで取り寄せることは出来ますけど、送料が勿体ないので最後の手段にして、本探しを久々に楽しんでもいいかなと思います。
老眼が進んで背表紙の字が読めるか不安はありますが。


【追記】
澤上会長がブログに今回のコンサート、ボローニャフィルのことを書いてました。
334366443664https://sawakami.blog/2019/03/%e3%81%af%e3%81%98%e3%82%81%e3%81%a6%e3%81%ae%e6%ba%80%e5%93%a1%e5%be%a1%e7%a4%bc.html
満席何よりです。そして申し訳ありません、未だに会員になってません。

ボローニャフィルは歌劇場専属でも運営は独自でやっているというのがよく分からないけど、だからこそ質を高める努力を惜しまないということなんですね。時給が決まってて、いかにラクに仕事の時間をやり過ごすかしかアタマにない私とは世界が違う…(定時であがるための工夫戦略には熱心ですが)。

初くるくる&献血

つくばの0円マーケット、くるくるひろばに不要品を放出してきました。自分が行くのは3か月ぶりで今年最初のくるくるひろば。初くるくる。

今回放出したのは本5~6冊、マグカップ、湯呑み、ハンガー15本程。

上下2巻の小説は3年くらい前に買ったのに、読んだのは先月初め頃。買ったはいいけど、当時は仕事で疲れて一つの物語を追う気力が出ず、一度も開きませんでした。月の半分近くが休みの今の生活になってやっと読み終えることができ、ひと安心。それで手放すことにしました。

話の中に出てきた料理を真似て作ってみたりもしました。ただし、最初から自分の手持ちの食材と調味料で間に合わせたので真似とは言えませんが。でも単独でも、汁物の具、卵とじ、カレーの具にも出来るような便利な1品なので、時々作り置きしてます。

話が逸れましたが、くるくるひろばのゆるく分けられたゾーンごとに自分の持ち込み品を置いて、他の放出品をザッと見ながら、持って行ってくれる方がいるかどうかも気になって、ちょっと離れた所から見ていました。

一通り見渡したところでハンガーは無くなっていました。本も1冊を除いて持って行かれました。あの上下2巻の小説も、バッグに入れられるところを見ることができ、ああ良かったなあとまた一安心。
残った1冊は猫の写真が表紙の文庫本でしたが、小さな女の子が手に取っては地面に置くのを繰り返していて、何かの遊び道具になるのも悪くないかなあと思ったり。

マグカップと湯呑みは残ってましたけど、放出品はそのまま置いていつ帰ってもいいですし、この日でなくても次の開催で貰ってくれる人がいるかもしれませんし。

ま、捨てることなく不要品を手放せるのがありがたいので、5分ほど様子を眺めて今年の初くるくるはこれで終了。

で、この日のくるくるひろばは、献血ルームのすぐ近くだったので、ついでに献血をして帰りました。
つくばの献血ルームは駐車場3時間無料の処理をしてくれるのがありがたい。それに土日祝日は12~14時の昼休み無しで受付してくれます。土浦には献血ルームないんです。

もともと数年に1回くらいの割合なので趣味ではありませんけど、献血できるとちょっとお役に立てた感覚がありますね。
以前の職場で働いてたときは、比重が足りなくて献血できませんでした。疲れがとれない状態なのでわざわざ献血ルームに行く気も起きませんでしたが。たまたま買い物に行ったショッピングモールに来ていた献血バスを見かけて久しぶりにやる気を出してみたけどダメでして。

献血ルームもバスも利用料金とらずに高度な医療が行われてますよね。採血はもちろん、体調管理も感染予防も個人情報取り扱いも。あそこで働く人達の感染予防も当然大事ですし、献血ルームは無料漫画喫茶のような空間だし、今どきは無料Wi-Fiもあるしでねー、それで献血できないとなると非っっっ常に申し訳なくなります。使い捨ての器具とか手袋とか、中の人の労力とかが無駄になった気がします。献血できなくても事前検査で採血してるから、休憩とるよう勧めて無料ドリンクをわざわざ持ってきてくれて…。罪悪感煽られました。


去年いったん無職になって仕事を週4日に減らしたから、疲れなくなって献血できるようになったんでしょうか。去年11月に別のイベントに来たときに献血ルームを見つけて検査してもらったら、比重バッチリOKということで、およそ11年ぶりに献血、で、年が明けてこないだも…というわけでした。

今はお役に立ってるよりも、無料で飲食しながら1~2時間過ごさせて頂いてる感覚の方が大きいかもしれません。成分献血だと終わってから洗剤とかレトルトカレーを貰えたりもして、却って申し訳なくなりますし。貰いましたけど。3年保存できて温めなくてもOKなカレーなので備蓄としてありがたく。

それにしても日本赤十字社の持ってる個人情報とネットワークはすごい。11年ぶりだろうと献血カード無くしてようと引越ししてようと、氏名と生年月日で履歴を秒殺で辿れて住所変更手続きもサラサラしてくれます。3年前の献血バスでも同じ対応でした。11年の間の献血できなかった時の履歴も向こうは持っていますし。

あと、前回の時に初めて知りましたけど、今は献血が輸血だけでなく研究にも使われてるっていうことも文書でお知らせして同意を得てるんですね。

こういうことを全国規模で料金とらずに行えるのって、すごい力技だなあと、地方のおばさんは思うのでした。

オペラのオーディションをド素人が観覧してきた

今回もさわかみオペラに関する記事です。
いわゆる「オペラ」を観たことも無い、イタリア語も英語も分からないド素人なのに何故オペラのことばかり…
知らない世界だからかもしれません。
知らないとその時に見聞きしたものだけを文章化するから、そんなに大変ではないです。

仕事にしてる介護とか自分のライフスタイルとか好きなものとかになると、要素が長年に渡って複雑に絡み合ってるようなイメージで、整理して文章にするのが難しいと感じます。
正直、自分のことを文章化することでもあるので「そんな大したものじゃないし」と逃げの姿勢でもあるのですが。

まあ、自分のことはさておき。やっぱり逃げる。

先月のコンサート形式の「トスカ」からちょうど1ヶ月、今年のさわかみオペラの演目「蝶蝶夫人」のキャストオーディションが3日間にわたって行われました。会場も先月のコンサートと同じイタリア文化会館のホール。
https://sawakami-opera.org/

キャストオーディションと同時に、イタリア留学の助成者を選ぶオーディションも行ってます。財団HPにもありますが、オペラの本場で修行させて、本物のオペラの魅力を観客に届けることが出来る歌手・演奏家を育てる事業もやっているのです。

その留学をした人をイベント後のレセプションや懇親会で紹介して、歌や演奏を披露してもくれるので、私も何度か聴かせて頂いています。

そのオーディションを無料で一般公開するという、ビックリなイベントでした。たまたま3日間の中で休みがあったので、観覧してきました。

ポジションを与える/得るための選考ですから、観客に聴かせる本番とは違うというだけで、貴重な機会だと思いましたし、今まで聴いてこなかったオペラの歌唱を生で、しかもタダで聴ける!という、非常に不純な動機も相当ありましたし。
さわかみオペラがどうやって「総合芸術」であるオペラを創っているのか、それをちょっとでも知ることが出来るというのも面白いと思いましたし。

平日の昼間に私のようなド素人一般人がどれだけ来るのかは全く分からないままですが、私が観覧した日は、おそらく私だけだったのでは…。オーディション受験者とその知人友人関係者が99.9%だったと思います。
場違いにも程がある。
場違いなのは重々承知ですので、とにかく悪目立ちしないよう、服装はダークトーン、観覧していいエリアの隅に座って存在感を消しまくって存在しておりました。そんな私でも受付の方は丁寧に案内して下さいました。



審査員は…、ボローニャ歌劇場フィルハーモニー芸術監督でさわかみオペラ財団の芸術監督でもある吉田裕史氏、アンコーナ歌劇場芸術監督のイタリア人(お名前をどう表記していいか分からない…無知にも程がある)、財団理事長の澤上篤人氏でした。



受験者本人による自己紹介も歌も、当たり前ですが全部イタリア語です。何とか聞き取れたのは受験者の名前とオペラのタイトル(しかも聞き覚えのあるものだけ)くらいで、異世界、アウェー感ビシバシ。英語で自己紹介した方のだけ聞き取れて意味が何となく分かってちょっと安心。

受験者が課題曲を1曲ずつ歌っていくのをずっと繰り返すのかと思っていましたが、およそ1時間で10名ほど歌ったところで次のラウンドに進める受験者を発表して休憩、休憩後に進出者による次ラウンドでの歌唱という流れでした。

HPの応募要項を前もって読んだ時に、オーディションは第1ラウンドと第2ラウンドがあって、第2ラウンドでは審査員の指示に従って歌う…とありましたけど、一般公開は第1ラウンドだけだと思い込んでました。
ですが実際は第2ラウンドも観覧できました。しかも、第1ラウンド終了して審査員消える→審査員が戻って受験者をステージ前に集める→吉田氏とイタリア人芸術監督による講評→第2ラウンド進出者発表…てところまで見られたのです。
こんな文字通りの舞台裏、専門性の高い部分まで公開とは思ってませんでした。

ま、イタリア語からの日本語通訳による講評、私は絶対に深くは理解できてませんけど。吉田氏は日本語で話しましたが、いちばん聞きたかった部分をイタリア語で言ってしまってたなー。日本語に訳しにくい言い回しなのか、部外者には聞かせられない内容なのか。
澤上氏は「第2ラウンド、勉強になるから、時間あったら必ず見た方がいい。進めなかった方もぜひ!」とシンプルなお言葉のみ。


第2ラウンドでの審査員の指示や受験者の受け答えも当然ながら全部イタリア語。発音とか発声の指導なのかなあと感じたやりとりもあったけど分からずじまい。

そもそも各ラウンドが終わったってことも観覧席にいた人達が一斉に立ち上がったのを見て知るという、空気の読めなさ。場違いにも程がある。一応、受付の方に確認したけど。

そんなアウェーな場で私は何をしていたのか。

発音とか技術的なことはもちろん、歌の内容もどんな場面の歌なのかも何にも知りませんので、声質とか声色の違いをぼんやりと聴いてました。
その違いがどう評価されるかも分かりませんので、ただ「違う」ことだけを感じながら。

同じ課題曲を歌った歌手どうしだと、声の違いが特に分かりやすかったです。無知と無礼を承知で…片方はまろやかで丸みがあってホールに響いていたのに対し、もう片方は声の芯がむき出しな感じで響きも今ひとつ。私はホールの最後方の席にいたので、自分と声との距離の違いも何となくですが感じてました。

以前に観たさわかみオペラに出演されていた歌手や財団の助成でイタリア留学を終えた歌手もオーディションを受けていました。審査員とのイタリア語での会話のテンポが早くて、そのコミュニケーションからも何かを得ようとしてるんだろうか。既に舞台で活躍されている方だと説得力のような圧力を感じた一方、この日初めて聴いた歌手はキラキラ系の華やかな声が印象に残ったり。
あと、ホールの壁からの反響なのか、ミ~~っていうような音みたいなのがビブラートと一緒に鳴っていたのって、良いことなのかどうか。

歌を聴いて思ったのはそんなところです。

他に思ったこと
1.歌唱してたのは全員ほんの数分だけど、その中でも短い歌と長い歌があって、その差を歌手自身は気にしないのか?
長く歌える曲だとその分、自分を長くアピールできそう。逆にド素人が「え、もう終わり?」と思うような短さだと、それで評価されてOKみたいなある種の自信と集中力が必要そうだし。

2.伴奏のピアニスト
受験者が自分で手配・帯同したピアニストか、財団が用意したピアニストに依頼するかでしたが、ほとんどが財団のピアニストによる伴奏でした。そしてそのピアニストは、おそらく先月のコンサートで「トスカ」を一人で演奏した篠宮さんではないかと思います。目が悪くてお顔がよく分からないので自信がありませんが…。
で、どうしても受験者が手配したピアニストと比較してしまうのですが、同じピアノを弾いてるのに、音の鳴り方がやはり全く違うんですね。篠宮さん(別の方だったら本当に申し訳ありません)のピアノ伴奏を何曲か聞いた後、その帯同ピアニストに代わったのですが、音量が一気に小さくなりました。歌:ピアノ=2:1のような、ステージの上だけで鳴っている感じなのに、篠宮さんのは堂々とホールに響いてました。歌:ピアノ=1:1ぐらい。そっちを聞き慣れてたのでそれが当たり前だと思ってました。
どちらが良い/悪いではなく、違いを知る面白さ。

3.外国語で歌うのってやっぱり難しいんだろうな。
第1ラウンド後の講評でイタリア人の審査員は、イタリア語で歌うことについて話していました。詳しい内容は通訳を通して聞いてもよく理解できませんでしたが、マリア・カラスはああしてたこうしてたという話も出てました。
本国イタリアにもたくさん実力のある歌手はいるでしょうに、そこに言葉が全く異なる東洋人が食い込んで舞台に立つというのは、ド素人には分からない厳しい競争なのかなーと。
だからこそ、さわかみオペラは日本語オペラを創ろうとしているのかもしれません。日本人の役を得て日本語でアリアを歌うために欧米人がオーディションを受けに来る世界。今、クーデンホーフ光子を題材にしたオペラの台本募集中です。


吉田氏は夢を叶えるためのスキームを持つことを強調していましたし。キャストに選ばれても要求をクリア出来なければ、リハーサルの途中でも降ろされるとか。その降ろされる時に言われることをイタリア語で言ってたんで、そこが解らないのはちょっと残念。

本当に本番の舞台で歌える瞬間までオーディションはもちろん、リハーサルも、常に最高のパフォーマンスをするということなんでしょうか。いつでも代わりを用意できる世界で、常に選ばれる立場の歌手のプロ意識は、こういうものなのかもしれないと考えさせられました。
私なんて、いかにムダな動きと時間を減らすか、退勤時間までに言われたことを終わらせるか、ある意味パフォーマンス最低を目指しているので、ふだんやっていることと真逆の世界を垣間見たことになりました。
比べることも申し訳ない感じ。

この日は中国語でやりとりする中華料理店で食事したのもあって、日本語少なめの半日を過ごしました。

言葉なんてどうでもよくなる時あります。


追記
財団理事長の澤上氏が歌手オーディションのことをブログに書いていました。審査員も地元に帰れば聴衆から評価される立場、歌手の歌への理解度など、ド素人では分からないことを書いています。
https://sawakami.blog/2019/01/%e6%ad%8c%e6%89%8b%e3%82%aa%e3%83%bc%e3%83%87%e3%82%a3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%b3%e3%81%a7%e5%ad%a6%e3%82%93%e3%81%a0%e3%81%93%e3%81%a8.html

オペラ「トスカ」~ピアノ1台と歌手5名だけなのにとっても贅沢な2時間!レセプションも! のレセプションの巻

さわかみオペラによる2018年「音楽の旅」シリーズの最後となる「トスカ」のハイライト公演!
漫画の「動物のお医者さん」に「トスカ」が出てきたから内容を辛うじて知ってるという、メチャクチャなど素人ながら、生歌で満たされる3幕2時間を楽しみました。
ヒロインのトスカ始め主要な登場人物が、みんな殺されたり自殺するという悲劇なんですけどね。

さわかみオペラは公演後にいつもレセプションがあって、出演者や他のお客さんと余韻を楽しむ用意までしています。公演とは別料金ですけど、お酒や簡単な料理も楽しめます。出演者が一曲聴かせてくれたりもありますね。ファンとしては澤上氏の話も聞きたい。
ただ、単独行動の私は他のお客さんとなかなか話しづらくて、飲食してるだけでは間が持たない、やっぱり敷居が高いかな~と感じたことがあり、今回はどうするか迷っていました。

ですが。

公演の幕間で財団の方が、3月に行われる子ども向けのイベントのお知らせをしていたんですよ。オペラ歌手の生の歌声を目の前で聴かせる「音のシャワーコンサート」。で、リラックスして楽しんでもらうために靴を脱いで、マットの上で好きな姿勢で聴いてもらいたい。そのマットの購入費を皆様から募りたい、宜しければ公演後、募金箱にぜひ…。

公演が終わってロビーに出たら、その募金箱を持った職員さんの隣に澤上氏が立ってまして。

運良くタイミングが合ったら澤上氏に公演のお礼を言いたかったので、募金すればスムーズに言えると思ってお金を投入しました。お金をカッコよく使おうと日頃から訴える澤上氏の目の前で硬貨ではカッコ悪い気がして、紙幣を…1000円ですけど。

で、お礼を言ったら、澤上氏が「この後レセプション来る?」と聞いてきまして。「美味いワインも飲めるからぜひぜひ」とか言ってくるし。主催者ご本人に直に誘われたらファンとしては行くしかないです。
レセプション会場はさわかみオペラ財団のオフィス。公演会場のイタリア文化会館から歩いて10分もかからないこの場所は知ってまして、同じビルの2階には何度も行っています。さわかみファンドのオフィスですね。
財団のある4階は今回初めてです。澤上氏のふだんの職場を見ることになってテンションが上がる一方、敷居が高い感じも否めず、本当に行っていいのかビビり出す始末でしたが。

ドキドキしながらイタリア文化会館からのルートをスマホで確認していたら(方向音痴だし老眼だし外は暗いし)、澤上氏が何人かのお仲間と歩いて行くのを見かけ、その後をついて行くことにしました。
文字通りの追っかけをすることになるとは…!
レセプションに誘われた上に道案内までして貰って(ご本人に道案内のつもりはないですけど)、一石何鳥の鳥をこの日は仕留めたか分からなくなりました。

追っかけをして気付きましたが、まあ以前から立ち姿勢の良いご本人を見てイメージはしてましたが、澤上氏は歩くのが速い。
私の親と同世代の70才過ぎでちょっと小柄な方ですけど、歩幅が大きくてサッササッサと歩いていました。軽やか。

私はよく澤上氏の話を「熱い」と書いていますけど、決して暑苦しくはないです。言葉はシンプルだし聞いててスーッと理屈が分かるんだけど、押し付けがましさは感じない。この軽やかさ(「軽い」とも違う)でスケールの大きなことをカラリと話すんですよね。著書やブログの文章もそんな感じ。
澤上氏の歩く姿を見て、繋がった感じがしましたねー。

澤上氏の身軽な雰囲気とか話の熱さが分かるような記事があるので、良ければ参照してみて下さい。お財布もシンプル。
https://toyokeizai.net/articles/amp/215027?display=b&_event=read-body


全然レセプションの話にならない。すみません。

結論から言うと、レセプション、今回は行って良かったです!

今回は話しかけてくれた女性がいて、その方と話しながら1時間半を楽しく過ごせました。一緒に来る予定だったご友人に急な仕事が入り、その方もお一人で寂しかったみたいです。

最初に観たオペラが喜多方の酒蔵オペラだったと話したら、その時出演していた歌手がレセプションに来ていて、その方がお知り合いなのか、「さっき知り合った人が酒蔵オペラ観てて~」みたいなことを言って、その歌手を引き合わせてくれました。
(正直、紹介されるまで全く分からなかったですが…目が悪くて顔を覚えられない。)服装がオペラの時のドレスとは違ったこともあり、華奢な雰囲気がオペラ歌手には見えませんでした。ご本人は「いやー、体型を上手ーく隠してるんですよ~」と言ってましたが。

でも酒蔵オペラでこの歌手の歌声を浴びて感動したのは間違いないんですよね。覚えてなかった申し訳なさで慌ててしまい、それをちゃんと伝えられませんでした。

オペラ超初心者の私と話して良かったのかどうかは分かりませんけど、話しかけてくれた女性はとても気配りをしてくれました。お名前だけ聞いて、個人的なことはあまり話しませんでしたし、連絡先交換もしませんでしたが、またどこかの公演でお会いしたいですね。

それから、今回のレセプションでは、公演の出演者の紹介で、なぜ財団がこの人をオーディションで選んだのかを、財団の統括責任者が語ってくれたのがとても良かったです。

既にキャリアが十分あるのに落ちるかもしれない(落ちたらダメージ大)オーディションを敢えて受けに来た。審査員だったイタリアの歌劇場の責任者が「明日にでもうちの劇場に連れ帰りたい、余計なクセがつく前にうちで育てたい」と評したetc.
専門的な評価基準が分からなくても、その歌手の実力やオーディションの様子が伝わります。

一人で2時間の伴奏をしたピアニストは、実は歌のオーディションを受けに来た歌手の伴奏者として来ていて、審査員(誰だったかは記憶が飛んでます)が目を付けた(耳を付けた?)とか。こういう話もイイ。

ちなみに、来月には来年のオペラ「蝶蝶夫人」のキャストと、イタリア留学のための奨学金オーディションがあって、これも一般人が観覧できるそうです。上記のような話を聞くと、行ってみたくなります。


そんなこんなで1時間半、そろそろお開きとなる頃に、澤上氏は「今から仕事で○○へ行くので、これで」とこれまた軽やかに会場を去りました。

クリスマスと年末を前にとても良い時間を過ごせました。

オペラ「トスカ」~ピアノ1台&歌手5人による贅沢な2時間、レセプションも行って良かった

このブログの初めの頃にオペラを楽しんだことを書いていましたが
酒蔵オペラin喜多方
https://aserazu-sawagazu.hateblo.jp/entry/2018/05/29/162255
「トスカ」プレイベント
https://aserazu-sawagazu.hateblo.jp/entry/2018/07/14/185404

先日もオペラを楽しんできました。
「トスカ」コンサート形式ハイライトf:id:toriaezu113:20181223135403j:plain

オペラのことを今回含めて3度も記事にしながら、私はオーケストラ有り&フルバージョンのオペラをまだ観たことがありません。

観たのは全て、ファンである澤上篤人氏が理事長のさわかみオペラ芸術振興財団が主催する「音楽の旅」シリーズ。料金が3000円台とお手頃で、中身はコンパクト&シンプル、服装にあまり気を使わなくて済み、でも財団自らオーディションで選んで自信をもって舞台に立たせる演奏家や歌手のパフォーマンスを浴びるように聴けて、そして澤上氏の熱い話と溌剌とした様子を生で見聞きできる…私にとっては一石何鳥にもなるイベントなのです。

私が会場に着いたとき、入口の外で澤上氏が一人で立っていたので「初っ端から澤上さんに会えるとは…」とテンションが上がって、「こんにちは」と挨拶してしまいました。一石何鳥かのうちの1羽がここに来るとは。

ちなみにこの「トスカ」の本公演は9月、夜の名古屋城をバックとした壮大な野外オペラだったのですが、雨のせいで6日間公演の予定が最初の2公演しか出来なかったそうです。


今回の「トスカ」は、伴奏はピアノ1台。演じるのは5人の歌手で、うち1人は3役を演じてました。
「オペラ」からイメージされる大きな舞台装置や装飾はなく、テーブル・椅子・グラス・ワインの瓶、描きかけの絵や食べ物を入れるバスケットなどの小道具だけ。衣裳も「トスカ」用のではなく、おそらく歌手個人の舞台用のシンプルなものでした。舞台正面には大型のスクリーンで、幕ごとの場所となる教会や宮殿の画像と、歌詞の日本語字幕を映していました。

視覚的には簡素でしたけど、役柄とか物語の進行に合わせて上着を脱いだりタイをしなかったりと変化はありましたし、トスカ役の歌手は途中でドレスが変わったりしましたし。想像で補いながら(だいぶ乏しい想像力ですが)観る楽しみを味わえたと思いますし。

それにオペラ超初心者としては、歌と音楽に浸ることに集中できました。イタリア語ですから耳に入ってきても、字幕の訳以上の意味は分かりませんけど、マイクを通さない声の圧力とか、その歌声の反響音に包まれる感覚とか。
ピアノ1台でオーケストラの役割を果たしてるのも素晴らしかったし、歌のメロディーに添うような音の動きが何か印象深かったです。

ハイライトでも幕間に休憩時間があってたっぷり2時間。贅沢な2時間でした。

最後に理事長の澤上氏の挨拶という熱い話がありましたけど(個人的にはこれがメインかもしれない)、
・今年5月にやった喜多方の酒蔵オペラを来年もやります。ツアーでは翌日の朝ラーも予定。
・来年の野外オペラは「蝶蝶夫人」、今年雨で4公演も中止になったリベンジで、来年も名古屋城でやります
・日本人による日本語のオペラのテーマは「クーデンホーフ光子」とし、この台本を公募します

いろいろ進んでました。酒蔵オペラは絶対に行く。
お酒はあまり得意でないので特にモチベーションにならないけど、福島に行く理由がいろいろ出来るのは、親が福島出身という身としてはほんのり嬉しいです。廃炉資料館、伊藤若冲展(来年3月)、酒蔵オペラ。場所的にも浜通り中通り会津とちょうど揃いましたし。

で、終演後、レセプションも参加するかどうか迷っていたのですが、澤上氏ご本人からお誘いの言葉をかけられたので結局行ってしまいました。完全に追っかけです。

長くなったのでレセプションのことは次に書きます。